2020.01.27

エンジニアの成長を
会社全体でバックアップする
メンバーズキャリアの育成環境とは

社外CTOを技術顧問として招聘し、
専門分野における研修も開催。

■Speaker 情報

株式会社メンバーズキャリア
Webエンジニアグループ グループ長
中島 卓司 氏

株式会社メンバーズキャリア
キャリアサポートグループ グループ長
植松 理恵 氏

デザイナーからエンジニアまで、幅広いジャンルの技術者を企業に派遣している株式会社メンバーズキャリア。デジタルマーケティングで業界を牽引する株式会社メンバーズのグループ会社として、年々エンジニア人員を拡充しています。同社が多くのクライアント企業そして転職希望者から支持される理由は、常駐・派遣スタッフの全員を正社員として雇用し、外部の技術者を顧問として招聘して、社内向けに専門的な研修講座を開催するなど、エンジニアが働きやすく常に成長できる環境づくりにありました。今回は、クライアント企業と相対する営業担当の中島さんと、社員育成を担当する植松さんに、同社の方針と実務の詳細を伺いました。



■テクノロジーの力で社会課題を解決したい

お二人のこれまでのキャリアと、今のお仕事について教えてください。

中島氏:メンバーズキャリアは2014年に設立された会社で、私は設立間もない2014年8月に入社しました。現在私が所属するWebエンジニアグループが立ち上がったのは2018年4月で、サーバーサイドエンジニアの常駐事業におけるお客様とのやり取りを担当しています。

前職でもWeb・ゲーム業界のお客様に向けて、エンジニアやクリエイターを派遣する仕事をしていたんです。しかし当時は自社の社員を派遣する形ではなく、ご登録いただいた方々を派遣する業態だったので、エンジニアの皆さんのスキル開発やキャリアアップをきちんとサポートできないことにジレンマを抱えていました。一般派遣だと、派遣営業と常駐者は、契約期間だけの一時的な付き合いとなるケースが多かったんです。

もっと長期的な目線でエンジニアやクリエイターの育成をサポートしていきたいと思っていたところに、前職の同僚であり、先に転職していた当社の小島(広報マーケティング・Webエンジニアグループ採用担当)から誘いを受けて、私もジョインすることを決めました。

創業期はWebディレクター、Webデザイナー、マークアップエンジニアなどWeb制作に関わる人員の常駐事業がメーンでした。2018年からお客様からのニーズに対応する形で、Webエンジニアグループを立ち上げました。現在は、サーバーサイドエンジニアやフロントエンドエンジニアなど、Web開発に関わる技術者の常駐事業を担当し、エンジニア人員の増員、育成に尽力しているところです。

植松氏:私は2017年にメンバーズキャリアに入社し、WebクリエイターグループおよびWebエンジニアグループの育成や研修カリキュラムの作成などを担当しています。

栄養系の大学を卒業後、ずっと飲食系の仕事をしてきたなかで、前職では様々なフランチャイズチェーンへ派遣するスタッフの面談や評価・検定・育成などを担当していました。

Web業界で働くのはメンバーズキャリアが初めてでしたが、前職での経験も活かすことができています。専門的なことは社内のクリエイターや技術顧問の皆さんにゼロから教えてもらいながら、Web業界において有効な育成カリキュラムや研修講座をつくっています。

メンバーズキャリアは、メンバーズグループの1社として、どのようなビジョンやミッションを描いていますか。

中島氏:メンバーズは、世界一のWeb運用サービスの提供を通して、マーケティングの在り方を変え、持続可能な社会への貢献をミッションとして、企業と人々のエンゲージメントを創出しております。弊社はそのグループ会社として、デジタルクリエイターの力で持続可能な社会創造に貢献する役割を担っています。「ひとりでも多くの『優秀なデジタルクリエイター』を輩出し、 持続可能な社会に向けたデジタルイノベーション創造を支える」というミッションを掲げ、AI時代、5G時代を見据えた、より高い技術を身につけたデジタルクリエイターの育成、持続可能な社会創造にデジタルクリエイティブで貢献できるクリエイターの育成、場所にとらわれない新たな働き方の創出に取り組んでいます。

■外部のCTOやOSSコミッターを「技術顧問」に迎えて講座開催

社員が成長できる環境を大切にしているそうですが、中でも外部企業のCEOやCTOを「技術顧問」として招聘して研修講座を開いているのは画期的だと思います。どのような方々が、どのような経緯で賛同されて、ご参画されているのでしょうか。

中島氏:技術顧問の取り組みをはじめたのは2015年ごろです。新卒・中途未経験者の採用を開始し、業界未経験の社員比率が増していました。学校等で基礎的なスキルを学んでいた方でも、実務に必要な知識やスキルの強化が必要な状態でした。その際にデザイン、フロントエンドの領域で2名の「技術顧問」に就任していただきました。ご協力いただきたい方に打診をして、当時の在籍クリエイターの状況や私達のビジョンに理解を示していただき、ご参画いただいたのがはじまりです。

植松氏:現在では、スタートアップの代表やCTO、CMOとして活躍している方々を中心に、エンジニア部門4名、クリエイター部門3名の技術顧問の方々に、様々な研修講座の講師を勤めていただいています。

例えば「DBFlute」のメインコミッターとして活躍しているオープンソースプログラマーの久保雅彦氏 や株式会社Schoo初代CTOで現在はマネーフォワードグループの株式会社MF KESSAIのCTOである篠原祐貴氏 などにもご協力いただいています。

研修講座の内容をおしえてください。

植松氏:GoやRuby on Rails、Vue.js、React等の講座が中心です。例えば先ほど申し上げた篠原さんのGo講座では、毎月2回、常駐先の業務を終えた後に2時間程度、開発の流れやフレームワークや周辺ツールなどの実践的な使い方を学び、事前に書いたコードのレビューをしてもらっています。家庭教師のような雰囲気で、チーム開発のイメージがつかみやすいようです。

講座のスタイルは、講義型やハンズオン型、コードレビューなど各技術顧問の方が得意とするスタイルで行っています。リモートやチャットでのサポートを行うこともありますね。現在は各講座、月1~2回のペースで3~6人のメンバーを募って実施しています。

特に今力を入れているのは、Python、Go、Javaです。2019年12月からはKotlinの講座もスタートしました。特に常駐経験のある社員については、これから新しく身に付けたいことや、会社として身に付けて欲しいことをできる範囲で学んで欲しいなと思っています。

場合によっては予習・復習も必要なので、定期的に学習をする習慣も身につけられます。講座の後はテンションが上がり、そのままコーディングに没頭している社員の姿も、多数見受けられます。

エンジニアにとっては、新しいテクノロジーを自学自習でキャッチアップしていくことが課題になりがちですが、会社に育成サポートの体制があれば安心して働けますね。

植松氏:そうですね。技術顧問の方々はみなさん現場の最前線で最新技術を用いた開発に取り組んでいらっしゃいますし、FintechやWebマーケティングなどトレンドの領域にも精通しています。こうした方々から直接現場の空気感や、第一線の技術を学べることは、若手エンジニアにとっても、大きなやりがいに繋がっているようです。社員の中には、「この技術顧問の方に教わってみたい!」と意欲的なメンバーも多く、モチベーション向上に繋がっています。

中島氏:もともと親会社のメンバーズがデジタルマーケティングに強いこともあって、Bto C向けのWebサービスを展開している企業にクリエイターを派遣することが多いんです。ですから、決済回りの技術やGoogle Analyticsなどによる定量的なデータ分析、UI・UX改善などを行うWebマーケティングに強い技術顧問の方にも入ってもらっています。

新しく入社された方の、常駐先が決まるまでの研修および常駐先決定フローを教えてください。

植松氏:入社された方は、まず常駐先が決まるまで本社で待機という形になります。この期間に業務・業界未経験の方については、技術顧問の富田陽介氏(株式会社ビルディット代表、株式会社ウーシア取締役CTO)にPHPやJavaなどのコードレビューをしていただくようにしています。

経験者で、ある程度コードが書ける方については、ご自身でプログラミングしたり、若手とペアプログラミングしたりなどで、スキルを維持または向上していただくようにしています。

中島氏:同じように中途入社である程度経験のある人には、すでにお持ちのスキルセットに加えて、今トレンドとなっている言語の講座に自ら手を挙げて参加する人が多いですね。

技術顧問の制度を取り入れたことで、どのような効果がありましたか。

中島氏:新卒入社や未経験の方々もスムーズに常駐先が決まるようになりました。営業にとっても「彼はこういったスキルセットを持っている」と、明確に提案ができますので。それから、採用広報においても有利になりましたね。技術顧問制度の存在によって、教育に力を入れている会社だというブランディングができるようになりましたし、面接でも求職者の方々からそういった言葉をよく聞くようになりました。

植松氏:今後も、当社の成長や技術の進化に合わせて研修のカリキュラムを増やしたり、技術顧問の方の人数を増やしたりしていきたいですね。

■スキルアップ時間の確保やリモートワークも実現

企業に常駐している社員の残業時間やリモートワークなど、働き方についてはどのように管理していらっしゃいますか。

中島氏:残業については当社の労務部門と協力して、各営業が一人ひとりのエンジニアやクリエイターの稼働時間を把握するように努めています。残業時間が多いメンバーについては、派遣先企業に交渉して当社から派遣する人数を増員させてもらったり、先方の社員の方にサポートしてもらう体制を整えていただいたりするよう働きかけています。

エンジニアやクリエイターが忙しすぎて心身共に疲弊してしまうようなことは避けたいですし、余裕をもって働いていただき、スキルアップする時間を確保してあげたいと考えています。当社の研修講座がある日には、営業が派遣先企業に話して早めに仕事を上がれるよう調整しています。

リモートワークについても、エンジニア部門を中心に拡大していく予定です。最近では、在宅勤務をするフルリモートの正社員をエンジニア部門で2名採用し、2019年の12月に案件がスタートしました。

植松氏:クリエイター部門でも、「半分在宅・半分常駐」という子育て中のママクリエイターがいらっしゃいます。クリエイター部門には女性が多いこともあり、これからも積極的にリモートワークができるよう働きかけていきたいですね。お客様とこれまでの関係性が良好なので、リモートワークを気持ちよく承認、推奨いただけるケースが増えてきています。

スキル向上に繋がる外部の講座受講料などに年間20万円まで補助したり、書籍購入を年間1万5千円まで支援したりと様々な成長補助制度があるそうですね。

植松氏:はい、外部の研修やセミナーなどを利用したり技術書を購入したりすると補助を出すようにしています。利用率はとても高く、多くのクリエイターやエンジニアが利用しています。当社の自由な働き方やスキルアップしやすい環境を生かして、どんどん成長して欲しいと思っています。

これからは貴社のクリエイターやエンジニアが育って、技術顧問になることも考えられますね。

植松氏:そうですね。自社の技術顧問として後輩の育成をするなど、他社に技術顧問として迎えられるくらいの高いスキルの人材を育てるのが理想です。

中島氏:2020年からプログラミングが義務教育化されますので、そこに貢献することも視野に入れています。

■採用オペレーションの効率化、スキルの定点観測に「track」を活用

現在エンジニア、クリエイターはそれぞれ何人ぐらいいらっしゃいますか。

中島氏:2019年9月時点でWebエンジニアグループ26名、Webクリエイターグループ271名です。今後はエンジニアの採用にいっそう力を入れて同じくらいの比率にしていきたいと考えています。

かなり積極的に採用されているのですね。この採用フローの中に、ギブリーの「track」を活用しているのはなぜですか。

中島氏:積極的に勉強する意欲があるか、どれぐらいの技術力があるかを採用フローの中でチェックするためです。スキルチェックツール「track」を導入したのは2018年からで、いまは1次面接と2次面接の間に「track」を使って技術力のスクリーニングをしています。

実は「track」を導入するまで、グループ会社に所属するエンジニアに頼み込んで、技術力を見極めるためのプログラミング課題を添削してもらっていたんです。しかしエンジニアのリソースを割いていることに心苦しさを感じていました。一方、候補者にも技術力スクリーニングに数日の時間を取ってしまうことで選考離脱の懸念を感じていました。

様々なスキルチェックツールを比較し、導入事例やデモ画面などを拝見したところ、Webブラウザ上で誰でも簡単に課題を設計できる「track」の手軽さとコストパフォーマンスの良さに魅力を感じました。すぐに導入を決めましたね。「track」内で出題される問題も、もともと我々が提示していた課題と似た内容で驚きました。難易度も求める方向性もぴったりだなと。

植松氏:エンジニアのスキルを様々な企業のエンジニアが受験された何十万受験という膨大なデータから分析して、定量的な得点として数値化、可視化してくれるところも大きな魅力でした。この得点は信頼できるなと思いましたね。

中島氏:採用担当は2名と少数ですし、どちらも非エンジニアなので煩雑なオペレーションも、コードを見て技術の良し悪しを判断することもできません。「track」で明確な点数が出ることにより、技術がわかる現場エンジニアの人的リソースを割かなくても技術力をジャッジできるようになったため、とても助かっています。非エンジニアが使ううえで、直感的に使い始められるUIも魅力的でした。

「track」で受験した結果、書類に書かれているスキルと実力に差があると感じた場合、どのように対応していますか。

中島氏:もう一度お会いして、「技術力テストはどうでしたか?」とお聞きするようにしています。現時点では「track」の結果を直接採用の合否には用いず、応募者の技術的な情報を得ることに利用しています。受験したご本人とお話すると「実はあまり出来ませんでした」と率直にお伝えくださるケースが多いですね。

最近ではメンバーの教育目的で「track」を使っているとも伺いましたが。

植松氏:そうなんです。当初は採用での活用を目的に導入したものですが、誰でもすぐ使いこなせるUIだったので、教育チームでも徐々に使い始めています。

実は、クリエイターチームの新卒社員でコーディングに苦手意識を持つメンバーや、実力と自己認識にギャップのあるメンバーにどのようにスキルアップをすればいいか考えあぐねていたのです。そこで新卒入社のクリエイターに、HTMLやCSS、JavaScriptなどのコーディング試験を一斉に行うことで、個々人のスキルを可視化する取り組みを行いました。その結果、クリエイターひとりひとりの教育指針を立てやすくなり、指導にも役立っています。

教育スキームに「track」を取り入れたことによって、営業に対してどの社員がどんなスキルを持っているのかも伝えやすくなりました。得点の高かったクリエイターに関しては、お客様にお見せするポートフォリオに「track」の点数を記載し、スキルがあるというエビデンスとしても活用しています。

これからはエンジニアのスキルを中長期的に定点観測するために使えたらいいですね。入社前後の「track」の点数を比較して、技術顧問による講座を受講した後に「track」のテストを受けてもらって改めてスキルチェックすることで、エンジニアがどれぐらい成長しているかといった習熟度を可視化できたらと思っています。

中島氏:4月に入社したばかりの社員でも、さまざまな研修や講座、案件で経験を積むことによって、ほんの数カ月で点数が上がるんですよね。

植松氏:プログラミングに苦手意識を持っていた社員も、「track」の点数がアップしていると、大きな自信に繋がります。

中島氏:私たちにとっても社員のスキルアップを実感できますし、育成プランの方向性が間違っていないんだということが確認できます。クリエイターやエンジニアの技術力や成長度合いを定点観測する上で「track」は大きく貢献していますね。

ありがとうございました!

エンジニアのスキル開発に力を入れ、働きやすい環境を実現しているメンバーズキャリア。「技術顧問」による充実した研修講座に加えて、『track』による定期的なスキルチェックを行うことでモチベーションアップや常駐先の決定にひと役買っているようです。もちろん、採用選考のフローでも『track』が重要な役割を果たしています。これからもエンジニアのスキル開発先進企業として、どんな新しい取り組みにチャレンジするのか楽しみです。

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  • Writer
  • AgileHR magazine編集部
  • エンジニアと人事が共に手を取り合ってHRを考える文化を作りたい。その為のきっかけやヒントとなる発信し続けて新しい価値を創出すべく、日々コンテンツづくりに邁進している。

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