2019.07.01

積極的な姿勢が求められる
「セガのものづくり」において
エンジニア採用に重要な学生とのコミュニケーションとは。

1on1で丁寧に向き合う対応で、
学生のゲーム業界でのキャリア形成をおこなう。
【Special Interview #04】

■Speaker 情報

株式会社 セガ・インタラクティブ
技術本部
技術統括室
副室長
矢儀 篤樹(やぎ・あつき)氏

株式会社 セガ・インタラクティブ
技術本部
技術統括室 ソフトシステムセクション
チーフプログラマー
濱島 秀明(はましま・ひであき)氏

株式会社 セガホールディングス
コーポレート本部
人事部 人事チーム
池谷 百合恵(いけがや・ゆりえ)氏

セガグループの中で、特にアーケードゲームの企画・開発を手がける株式会社セガ・インタラクティブ。「新たなものづくり」を志向する社風で、常にこれまでにないゲームを世に送り出し続けており、ゲーム業界でも高いプレゼンスを持っています。
そんな同社のエンジニア採用ではゲーム作りへの情熱も求められるため、全国各地で開催されている説明会や講演会で登壇したり、自社及び各社・各団体が開催する「GAMEJAM」などのイベントにも積極的に参加し、学生と1on1でコミュニケーションをとる活動を行っています。そんなセガ・インタラクティブのエンジニア採用に対する取り組みについて、エンジニア採用をリードする矢儀篤樹氏、濱島秀明氏、人事担当の、池谷百合恵氏に考え方や手法を伺いました。

■セガ・インタラクティブのエンジニア採用のフローとは?

セガ・インタラクティブは、選考前の学生に対して1on1コミュニケーションを取っていく活動を行ってるそうです。まずは御社のエンジニア採用におけるフローについて教えてください。

矢儀氏:「新卒エンジニア採用のフローを説明すると、まず最初に開催されるのがセガグループ各社(セガ・インタラクティブや主にコンシューマー向けゲームの企画開発を手掛けるセガゲームスなど)で職種別に行われるインターンシップ(以下、インターン)です。これらすべてに参加する学生もいれば、興味のある会社のインターンのみ参加する学生もいます。」

池谷氏:「セガゲームスに関して、昨年はデバイス別のインターンを行いました。スマートフォン向けの事業部が夏ごろから、続いて家庭用ゲームとオンラインゲームの事業部が合同でインターンを開催し、並行してセガ・インタラクティブはプログラミング学習・試験プラットフォームの『track』を利用したオンラインインターン選考を実施したという状況です。」

矢儀氏:「弊社には『甲虫王者ムシキング』というIPがあるのですが、そのゲームのジャンケンバトルをプログラミングする課題を『track』を利用してオンラインで出題しました。その課題を解かれた学生の中から抽選で弊社にお招きしたうえで、弊社社員と学生・学生同士でもレビューしあうコードレビューを中心とした『1dayインターン』を行いました。

それ以外では、会社説明会で弊社のポリシーをお伝えし、そのうえで学生との対話の機会を設けています。全体としては、会社説明会があり、学生が持参される作品を見てフィードバックする会があり、学生の志向やキャリアをお伺いし、学生からの質問にもお答えする面談を行うという流れです。」

■ゲーム業界のプレゼンスは下がっている?

セガ・インタラクティブではエンジニア採用とはいっても、実際にゲーム制作にも携わることが求められます。エンジニア志望の学生を集客するために、どのような取り組みをされているのでしょうか?

矢儀氏:「学生へのアプローチの施策は、先ほどお話したインターンが主軸です。それ以外には、弊社主催、または異業種含めた他社様と組んで講演をさせていただいています。また、全国の学校を回って学生さんとコミュニケーションをとり、作品レビューをさせていただく中で、『セガでのものづくり』を伝えています。」

これまでAgileHR magazineでは様々な企業のエンジニア採用における課題について伺ってきました。各社それぞれ課題を抱えておられますが、セガ・インタラクティブにおける課題はどのようなものがあるのでしょうか?

矢儀氏:「 “学生が弊社を知っていることが当然”ではないという課題です。知らないことを前提に「はじめまして、セガです」というところから始めています。セガという社名にプレゼンスを感じるのは40代以上の方です。しかも、そういう40代50代の方々も「昔、セガのゲーム機を全部持っていました」という過去形です。とはいえ、おかげさまで、そういう方々が企業で裁量をもたれると、仕事が非常にやりやすいという、ありがたいお話もあります。

転じて学生には、残念ながらセガのプレゼンスは低下していると言わざるを得ないかなと思います。たまたま『甲虫王者ムシキング』が2006年ごろから大ヒットしたので(2007年11月には累計出荷枚数は4億9,800万枚を記録)、今の学生の中にはムシキングや『オシャレ魔女 ラブandベリー』という女児向けアーケードゲームのタイトルは知っていただけているようで、今回のオンラインインターンでムシキングに倣ったルールの実装を取り入れたのも、まさにそういった背景です。

しかし、全体的に学生へのアプローチが難しい時代になっているというのはあります。私は子どものころからゲームが作りたくて、作りまくって、ゲーム業界に入ったというわかりやすい経緯がありますが、学生さんにはゲーム以外の選択肢も多い時代になったと考えます。

また、最近はゲーム制作もコモディティ化が進み、ひとつのツールで何でもできるので、昔ほど難しくなくなったんです。UnityとかUnreal Engineといったゲーム開発エンジンで簡単に作れてしまう。特殊な勉強があまり要らなくなりました。そもそもゲームって、メーンな遊びではなくなりつつあります。スマホをいじるついでにゲームをやるみたいな。全体的にゲーム業界のプレゼンスが下がってきているんですね。

採用に関しても、たとえば逆求人でとても優秀な学生がいるとして、その人は無限の可能性を持っていますよね。「私はゲームを一生作って生きていきます」という学生が欲しいけど、やはり万能感を持った学生が増えているので、いかにゲーム制作に誘導できるかという課題はあります。」

池谷氏:「ゲームを作りたくて応募してくれる学生がいると嬉しいんですが、将来に向かって様々なことに挑戦していく中でセガの魅力をインターンなどを通じて知っていただき、結果的に「ゲームを作ることを仕事にしたい!」という学生が増えると嬉しいです。」

家庭用ゲームの黎明期には、ゲームクリエイターはあこがれの職業でした。ゲーム業界のプレゼンスが下がってきたのは、スマホなどネットワーク系の無料ゲームが出始めてゲームのプレイ環境の変化も関係ありますか?

矢儀氏:「スマホの無料ゲームというのは、業界の価値を上げたり下げたり、両方の面がありますね。無料であるがゆえに、消費物としての扱いが強まってしまう。昔も今もゲーム制作はかなりの費用がかかっていて、制作費が何億にもなるタイトルもあります。これまでは初期投資として5,000~6,000円払って購入するものでしたが、スマホゲームはフリートゥプレイ中心で時間の消費財のひとつとなっている感はあります。ただ、それがゲーム価値を下げたと言い切れないところもあって、楽しみの汎用化という点では価値を上げているのかもしれません。ゲームを手に取らなかった層の方も、誰でも簡単に手に入れられます。しかもオンラインで、いつでもどこでもゲームができますし。

ここで持ち出す話でもないかもしれませんが、そういう意味ではアーケードゲームの価値は下がったかもしれません。かつては、それこそ軍事目的で使っていたような高性能なシステムで表現した3DCGを駆使した何百万円も、中には何千万円もするような究極のゲーム機をシェアして楽しむ場所がゲームセンターでした。その後、家庭用ゲーム機が同等のUXを与えられるように進化したのもあり、相対的にゲームセンターの価値が下がったということです。」

濱島氏:「そのような背景もありますが、技術の進化とともに今では非常にゲームが作りやすくなってきてます。昔はシステムのベースの部分を作って、その上にアプリケーションを乗せるという流れだったのですが、今はベース部分をゲームエンジンが担ってくれているので、私たちが作る必要がないんです。いきなりゲーム作りに集中できるという良い時代にはなっています。

反対に、ベース部分を作らなくて良いので、ゲームの仕組みがわからない人が増えてきているのが問題になっています。独自のゲームを作る際に、どのように実現するかを想像できないという状態になってしまい、改めて学ばないといけないという問題があります。」

現在、セガ・インタラクティブの中でエンジニアをもっとも抱えている部署はどの部署ですか?

矢儀氏:「セガ・インタラクティブに限って言えば、ゲームセンターの部署が一番多いですね。次いでスマートフォン・コンシューマ、そしてVR等のシミュレーターを作る部署、技術サポート部隊にエンジニアがいます。」

■想像力で動ける「一手、多い学生」を求めるエンジニア像

セガ・インタラクティブが求める新卒のエンジニア像は、どのような人物なのでしょうか?

矢儀氏:「セガグループ内でも少しずつエンジニアに求める人物像は異なるのですが、ことセガ・インタラクティブでいえば「ゲームを作ることが好きでしょうがない」という人ですね。そして、それを実行に移せている人。エンジニアということであれば、UnityやUnreal Engine、Web、電子工作と手段は問わないので、既に何か作っているということが前提です。

その上で、求める人物像としては「一手、多い人」です。普通のビデオゲームを作るだけではなく、セガ・インタラクティブではお客様に感動を与えるハード(筐体)を作ることが求められます。ハードの知識がフルに必要かというと、そういうわけでもないのですが、画面の外まで含めてゲームを作る視点や感性が必要になります。画面の中だけでキャラクターを動かして完結するという視点ではなく、もっと枠をぶち壊した視点が必要です。」

池谷氏:「採用説明会で広く打ち出しているのは「ものづくりが好き」ということですね。これには「頭の中で思い描いたことを具現化することに慣れている」という理由と、「誰かに喜んで欲しい」という志向を持ち合わせているという理由があります。

また、個性がある人をすごく大事にしています。面接でも「個性をどんどんアピールしてください」と伝えるようにしています。「自分には人に自慢できるような個性がない」と思われている学生も多いのですが、誰しも他の人にはない個性は持っているはずなんですよね。自分自身でそれに気づいて欲しい、そして自信を持ってアピールして欲しいと思っています。弊社ではあらゆる面で多様性を大切にしています。」

「一手、多い学生」という話が出ましたが、そういう学生には何か特徴があるのでしょうか?

池谷氏:「すぐに行動に移せるというところでしょうか。「もう作っちゃいました」というような、想像力と行動力を併せ持つ人ではないでしょうか。」

濱島氏:「そうですね。あとは何が作りたいかというのが、自分の中で形になって見えている人でしょうか。それは作っているゲームに現れるんですよね。こちらには「こういうことがやりたいんだな」といった、こだわりがそこに見えてくるのです。その意味では、確かに行動力というのは重要だと思います。」

矢儀氏:「速度感というか、自分がラクをするためにツールを作ることができる人。ある意味怠け者のほうがいいのかもしれませんね(笑)。横着で自己主張が強くて「俺が俺が」という人のほうがいいですね。弊社に入ってくる人は、比較的そういうトンガッた人が多いです。入社してすぐに「僕をSIGGRAPH(アメリカ)に行かせてください」という新入社員もいました(笑)。業務を効率化するための世界最高峰のグラフィックスを学びたい、テクニカルアーティストになりたいという理由でしたが、有言実行で今はテクニカルアーティストとして活躍しています。」

池谷氏:「学生の中には「これは、やったほうがいいですかね」という質問をしてくる人がいるんですけど、こちらからすると「そう思われるなら聞く前にやれば良いのに」って思うんですね。そういう質問をしてくる学生は、自分で一歩踏み出す前の壁を作ってしまっているような気がします。思ったら行動するような人に、活躍している人が多いのではないかなって思います。」

■ゲーム業界全体として採用に関する危機感がある

“原石”のエンジニア学生を発掘するために、いろいろな学校を回っているという話がありました。主に、どのような学校に行かれているのでしょうか?

矢儀氏:「それこそ大学、大学院からゲーム制作の専門学校まで全部です。1シーズンで20校とか、それぐらい……。」

池谷氏:「エンジニア志望者に向けてであれば、情報系や機電系の学生が多い学校で説明会を開いています。それとは別に、開発者などが個別に呼ばれて講演会に登壇したり、セミナーの講師として呼ばれることもあります。」

講演会などは、矢儀さんのほうからアプローチをして行ったりしているのですか?

矢儀氏:「いえ、ご招待や、任意参加する場合が多いです。こちらからやらせてくださいと言うのは、なかなか度胸がありません。もちろん、呼ばれるための工夫はいろいろしていますけど。」

このような採用活動は、ゲーム業界全体として同じような取り組みを行っているのですか?

矢儀氏:「そうですね。たとえば他社の大手ゲーム会社とか、私の知り合いもそういった活動をしていて、そこと連携して情報交換したり、それぞれの会社に興味がある学生がいれば紹介し合ったりもしています。」

池谷氏:「ゲーム業界全体で盛り上げていかなければいけないという危機感はありますよね。そういった連携をするのは、危機感をお互いの共通認識として持っているからだと思います。」

矢儀氏:「他社も学生に対しては社名がプレゼンスにならなくなったりもして来てますからね。そういった意味では、我々もゼロから採用活動を行っています。主に中堅クラスのメンバーが中心になっていて、学校を回って、学生と話をしたり、弊社の社員と一緒に学校に出向いてGAMEJAMに参加してみたりとか。」

そのGAMEJAMはセガ・インタラクティブが主催だったのですか?

矢儀氏:「学校主催のGAMEJAMに我々が招待されました。コラボレーションということですね。そういうものにも呼んでくださいね、呼ばれたら行きますよと、いろいろなところで宣伝して回っています(笑)。」

GAMEJAMでは、具体的にどのような活動を行っているのでしょうか?

濱島氏:「チームに分かれて、各チームにひとりずつ我々がメンターとして入りアドバイスをしながら2日間でゲームを作り上げるという流れです。」

池谷氏:「エンジニア志望の学生について言えば、弊社主催、学校主催のいずれのGAMEJAMもインターンへの取り組みと同じくらい学生と接触できる重要な機会だと考えています。」

矢儀氏:「学校主催のGAMEJAMに呼ばれると、今までリーチできていなかった学生と接触できるんですね。弊社主催だと、自分たちのところに来るカテゴリーしかリーチできません。来る学生たちはセガを知っているアクティブな人たちなので。」

濱島氏:「招待されて行くGAMEJAMでは、ゲーム作りを一緒にやるというところからのスタートで、そこからセガを知ってもらうという順番ですよね。」

GAMEJAMでは、「セガイズム」をどのように伝えているのですか?

矢儀氏:「弊社のゲームづくりは、まずコンセプトを決めるところから始めてます。そこは非常に厳格にやっていて、コンセプトに基づき、どういう手法で作ろうか思考するところには非常にエネルギーを使っています。我々はメンターに入って若干ウザさを出しながらアドバイスしますので(笑)、学生の方にも伝わっているのではないかと思っています。」

濱島氏:「制作するゲームで何を表現したいのかというのは、GAMEJAMで一番最初に決めるところなんですけど、そこが曖昧だとチームがバラバラになってしまうんです。みんなで意思統一を図るために、最初にコンセプトを決めるというところは社内でもこだわっているところです。ここがブレてしまうと、開発もブレてしまうので。」

こうしたコンセプトへのこだわりこそが、セガのプロダクトに現れている個性なのかもしれませんね。代々伝わってきたカルチャーなのでしょうか?

矢儀氏:「そうですね。良くも悪くも、儲けるのがうまい会社ではないし、戦略的にトップダウンだけで進めていく会社でもありませんし(笑)。弊社は、開発者が「こういうものが作りたいんだ」と言ったものが実現する会社です。諸先輩方が作り上げてきたプロダクトの歴史を見て、今までになかったものを作るという。「初の体感ゲーム」とか「初の3D格闘ゲーム」、「初の本当のカードを使った体感ゲーム」など、「初めて」ということに非常にこだわりが強い会社ですね。」

■なんとひとりの学生に5時間! 1on1コミュニケーションの重要性とは

「セガのものづくり」へのこだわりは、直接的なコミュニケーションを取らないと、なかなか学生には伝わらないということでした。だからこそ、1on1のコミュニケーションに重きを置いているのでしょうか?

矢儀氏:「学生は将来の選択肢が多いなかで、ありたい自分への糸口をつくらないといけません。夏休みに講習会をやったのですが、その時点で話した学生は「ただの水」といえる存在でした。これから、どう加工しようかという状態です。中には講演の後の相談で「そういう将来もあるのはわかったけど、私は何をやったらいいですか?」と聞いてくる学生もいました。」

池谷氏:「ですから、弊社の挑戦的な姿勢というのは、学生にあまり伝わっていないこともあります。それこそゲームがヒットすればプロダクトを通じて伝わる可能性もありますが、やっぱり定期的に学生の参加する場に出ていかないと伝わりません。そういう弊社の挑戦的な姿勢をもっと伝えようということで、人事も学校などに行って説明会を開くといった活動に重きを置いています。」

GAMEJAMから採用につなげるために、セガ・インタラクティブではどのようなアプローチをしているのでしょうか?

矢儀氏:「実際のところ、弊社に興味を持ってくれた学生がいれば、GAMEJAMの現場でいろいろ話をしたり、時には人生相談のような話を聞いたりする中で、既にやりたいことが明確にある学生とは連絡先を交換し、SNSなどでやり取りします。

それこそ、ある程度優秀な学生が多く参加している逆求人イベントに参加する際は採用モードで全力を尽くしますが、GAMEJAMではいきなり採用に繋げるというより、時間をかけて関係を築いていく感じです。GAMEJAMで知り合った学生に「気軽に連絡してね」と言ってしまったがために、5時間も話を聞くことになった経験もあります。部下でもないのに、その人が辿っていこうと思っている人生について、延々と相談を受けました。その学生は最終的に他社に入りましたが(笑)。

でもまあ、いずれ弊社に来てくれるかもしれないと思っています。狭い業界ですからね。私は中途採用も見ているのですが、数年後に「新卒入社した会社と合わなかった」って連絡が来ることもあります。ですから、学生が良いと思えば他社に行っても応援しますし、自分の人生なので良いことじゃないでしょうか。」

そのように他社に行ってしまうかもしれないのに、そこまで時間や労力を傾けるというのは、根底に何があるのでしょうか?

池谷氏:「学生に内定を出した後、回答期限を求めていないんです。セガはどういう会社なのかという判断材料を渡して、その上で決断していただければと考えているのです。判断の結果、セガに決めていただければそれに越したことはありませんが、他社に行かれてもそれは仕方ないと考えています。そういうスタンスですから、その学生に合った就職をしてもらうために、他社も幅広く見てから決めることを推奨しているんですよ。」

矢儀氏:「結局、誰に会ってどう考えたかですね。これまで出会って入社してくれた人は、ことあるごとに話しかけてくれます。業界の先輩、というか親心みたいなものなので。実際、親みたいな年齢差ですし(笑)。あと、大人と接する機会が少ない学生に恐怖心を与えたくないわけです。ゲーム業界が嫌な世界だと思ってほしくないですから。」

ゲーム業界に限らず、エンジニア採用における課題は母集団をどう作っていくかということになります。セガ・インタラクティブでは、どのような取り組みをしているのでしょうか?

池谷氏:「インターンサイトの掲載が一番早いですね。すでに21年卒の募集は6月から始まりますので、そこに掲載して、あとは広告など地道に活動を行っています。そしてインターンサイトで興味を持ってくれた学生には、イベントなどの告知を送るなど、丁寧に情報発信を行います。」

いろいろな学校を回り、1on1のコミュニケーションで多くの学生に接触する機会を作っていますが、実際にそういった学生は受けてくれるのでしょうか?

池谷氏:「多くの学生が受けてくれますね。データ的にはイベントに行ったり、学校に説明会に行ったりすると出席者の大半がエントリーしてくれます。やっぱり講演会やイベントの効果は高いですね。」

■『track』の採用は技術ブランディングが主目的

「こういうものが作りたい」という学生を重視しているというお話がありましたが、作りたいということと作れることは必ずしもリンクしません。そこでセガ・インタラクティブは『track』を導入していただきましたが、どのタイミングで学生に受けてもらうのでしょうか?

池谷氏:「前年度の例で言えばオンラインインターンは10月中旬でした。お話した「ムシキングチャレンジ」の課題を『track』内に作り、それを解いていただくような感じです。」

矢儀氏:「ジャンケンバトルの実装と、『track』に自由記述のシステムがないころに無茶をしたなと思うんですが「ムシキングにアイデアを足すとしたら、どうしますか」というのを記載する課題です。プレイするお客様のペルソナを書きなさいとか。入り口として『track』は非常にいいんです。コードをいろいろな形式で書いてメールとかで送りつけられても定量的に評価するのが困難なんですよね。オンラインで『track』を使って、見ることができて評価もできますから重宝しています。」

濱島氏:「1dayインターンも抽選であるにせよ、『track』の問題を解いた学生を呼んでいるので、学生の質を一定にすることができました。オンラインである程度ライン引きをして、その後、直接会って話をすると、なるほど、こういうコーディングをする学生たちは、こんな感じなんだということが把握できましたね。」

『track』を使ってオンラインインターンでスクリーニングできたことで、その後の御社でのインターンを良質にできたといった実感はあったのでしょうか?

濱島氏:「コードレビューという実際にコードを書いていないと実施できないような内容ができたのは大きかったですね。オンラインインターンの時点で、コードが書けてゲームが作れるという学生の中から、インターンに来た学生が多かったので、インターン自体の質が高いものにできたのが良かった点です。」

池谷氏:「本来のインターンの意義は就業体験であり、学生になにかしらフィードバックしてあげられる機会であるべきなのですが、今回は企業として学生に有益なフィードバックを提供できた取り組みだったかなと思います。」

矢儀氏:「『track』を使わせていただいたのは、セガはこういう入り口も用意してくれるんだという技術ブランディングがしたかったということがあります。遠方の学生でインターンに来られない人でも、オンラインインターンで参加してもらえます。また、1Dayインターンの内容をオンラインインターン参加者全員に対してフィードバックしました。そこまでするのがセガの姿勢と捉えていただければと思っています。」

今後、セガ・インタラクティブでは新卒のエンジニア採用でどんなことを取り入れていきたいと考えているのでしょうか?

矢儀氏:「遠方の学生の負担を減らしつつ、リーチしたいです。特に九州・北海道や大都市外の学生にリーチしきれていない。会社がテレビ会議のシステムを導入したので、それを使ってオンライン面談をしようと考えています。今まで九州に行ったり、北海道に行ったりしていたのですが、単発では思ったような成果が出ていなかったで、継続的にテレビ会議などで学生と接する機会を増やしていきたいですね。

また、インタラクティブにコミュニケーションできるツールやSNSの活用も積極的に行っていきたいです。今は個人的につながった学生と、個人のアカウントでやり取りしているような状態なので、リスク分散という意味でも、リアル以外でも学生と触れ合う機会を設けていきたいと思っています。」

ありがとうございました。

時間を掛けてエンジニア志望の学生一人ひとりと丁寧に向き合い、ものづくりに対する考え方や、ゲーム作りの奥深さや面白さといった魅力を学生に伝えているセガ・インタラクティブの新卒採用。ゲーム業界への就職や、人生について迷ったら、まずはその会社で働く人に臆せず話を聞いてみると良いでしょう。セガ・インタラクティブには、そんな学生をとても歓迎する姿勢を感じました。

この記事をシェアする

  • Writer
  • AgileHR magazine編集部
  • エンジニアと人事が共に手を取り合ってHRを考える文化を作りたい。その為のきっかけやヒントとなる発信し続けて新しい価値を創出すべく、日々コンテンツづくりに邁進している。

関連記事

Agile HR

# タグから探す

-