2024.04.09

ハイスキル新卒にこそチューニング可能な「フルオンライン」のオープン研修を。
ウイングアーク1stの新卒エンジニア研修担当から学ぶ、研修ベンダーの選定ポイント

■Speaker 情報


ウイングアーク1st株式会社
People Success部
依田 彩那
新卒で自動車部品メーカー入社、採用担当(新卒・中途)として技術系職種を中心に採用活動に携わった後、法人営業職として事業の前線を経験。
その後、自身の裁量を増やしながら仕事をしてみたいと考え、同社へ入社。現在は新卒教育および全社教育に携わりながら、キャリア開発にまつわる施策も担当する。

株式会社ギブリー
オープン研修 カスタマーサクセスチーム
渡辺 彩花
株式会社ギブリーの研修事業部のカスタマーサクセスとして、研修の企画・運営・受講生の面談などに従事。
オープン研修には、研修企画設計・カリキュラムの設計担当者・クラス担任を務める。

■イベント概要


採用戦略に磨きをかけ、各社がハイスキルな新卒エンジニアの獲得を進めています。そうした努力により人材の質が向上すると必要になってくるのが、より高次の研修を提供する「新卒研修ベンダー」への切り替えです。

今回は2023年度に弊社との研修切り替えを経験されたウイングアーク1st株式会社の研修担当・依田さんに、研修ベンダー選定前の軸作りから、実施前の不安、そこからの成果まで伺いました。

■会社紹介


渡辺:本日は、ウイングアーク1st株式会社の新卒研修担当であり、研修ベンダーの切り替えご担当者である依田彩那さんにお越しいただいております。依田さん、本日はよろしくお願いします。

依田さん:よろしくお願いします。

渡辺:では早速ですが、ウイングアーク1st様の事業紹介をしていただければと思います。

依田さん:当社の主要な事業の一つは、帳票・文書管理ソリューション事業です。国内シェアNo.1の帳票基盤ソリューション 『SVF』や電子帳票プラットフォーム『invoiceAgent』を展開しております。

二つ目は企業のデータ活用を促進するようなソフトウェアを開発するデータエンパワーメントソリューション事業です。10億件のデータを1秒弱で処理できるデータ分析基盤『Dr.Sum』、多様な形式にデータを可視化するBIダッシュボード『MotionBoard』などのツールをご提供しております。

また、アナログ業務をなくすためのコミュニケーションプラットフォーム『dejiren』なども当社の事業でてがける製品です。

渡辺:多様な製品群が新卒採用においても魅力になっているようですよね。今回お任せいただいた2023年卒の新卒研修受講生の方々からも、「自分はこのプロダクトの開発を任されたくて入社しました」という声が上がっていました。

■ハイスキルな新卒エンジニアを満足させる研修を求めて切り替えを検討


渡辺:それではウイングアーク1st様のエンジニア向け新卒研修設計と研修ベンダーの切り替えについてお話を伺っていきます。研修全体は三段階に分かれてらっしゃいますね。



依田さん:はい。全体の期間は半年間です。新卒生は当社に職種別採用で入社しているので、なるべく早く部門にバトンタッチしたいのですが、その前に「共通研修」という名刺交換などのビジネス基礎を学ぶ研修を2週間、「プログラミング研修」で技術基礎を2ヶ月半学んでもらい、社会人として・エンジニアとしての基礎を養っています。

その後、各部門ごとに各製品でどのような開発を行っているかを知るために、プロダクトに実際に触れ、座談会でメンバーのことも知っていく期間「部門研修」を行っています。

渡辺:2023年度、この真ん中の「プログラミング研修」を弊社にお任せくださったわけですが、研修ベンダーの切り替えを検討時に感じていた課題について教えていただけますか?


依田さん:採用力の強化、広報力の向上、『健康経営銘柄2023』への初選定などで、ありがたいことにこれまで以上にプログラミング経験が豊富でハイスキルなメンバーが数多く入社してくれるようになってきました。

そこで、メンバーを満足させられる内容を提供するために「研修のギアをもう一段階上げたい」と考えていました。

渡辺:新入社員の質が上がることで、研修ベンダーの切り替えや研修内容の見直しを考える必要が出てくる。ここはターニングポイントで、本当に多くの企業様が突き当たる課題だと思います。

しかし、いざ研修ベンダーの切り替えや選定をしようにも「どうやって研修ベンダーの切り替えを検討していったらいいかわからない」と悩まれている方は多いです。

そんな中、依田さんは明確に要望を言語化されて相談くださいました。この選定の軸の設定はどのように決定したのですか?



依田さん:私自身も研修ベンダーの変更は初めての経験で、「世の中にはこんなにたくさん素敵なベンダーさんが存在するのか」と感じていました。なので、きちんと軸を設定しないままで色々なベンダーの方のお話を聞きはじめれば「ここもいい・・・あそこもいい・・・」と迷子になってしまうと思ったのです。

そこでここは絶対押さえておきたいという意見を集約した"MUST"の内容をまず設定しました。

それから、「今よりももっとこうなった方がいい」という"WANT"を4つ設定し、ベンダーさんとのすり合わせに使いたい情報である"参考情報"を付記しました。

このリストをもとに、"MUST"を満たした上で"WANT"のチェックが一つでも多い企業さんにお願いしようと、ベンダー各社様の情報・提案を整理していきました。

■決め手となった”開発職が満足できる研修設計”とは


渡辺:ここで、「研修ベンダーを乗り換える際の最終的な決め手や動機についてお伺いしてみたい」と、イベント参加者の方からご質問いただいています。



依田さん:最終的に私たちがギブリーさんを選んだ最大の決め手は「開発職が満足できる研修設計だった」というところです。

素敵なプログラミング研修を提供するベンダー様はありましたが、その多くは「未経験から開発ができるようになる」をコンセプトにされている会社でした。

渡辺:初心者から育てることを強みとする研修ベンダーさんはもともとSES事業をされていた会社が多いですね。

一方、弊社は自社でプロダクトを開発する企業です。蓄積されたノウハウを研修に転用していますので、ハイスキル対応やプロダクト開発の強みを活かした研修設計という特徴があります。それがマッチしたのですね。

依田さん:はい。私たちもプロダクトを開発している企業なので、親和性の高さは話しながら感じていました。ただ、SIerの企業様がプロダクト開発を行う研修ベンダーさんにお願いすることにも意味があるので、このあたりどう意味合いを持たせるかが大切だと思っています。

渡辺:なるほど。

依田さん:それから、「体系的なカリキュラム」も大きな魅力でした。学生の中にはPythonなどの一つの言語には習熟しているものの、他の技術にはあまり触れたことがないという方も多いです。研修段階でいろんな言語に触れられるというのは、中長期的なエンジニアの成長にもつながると感じましたね。

最後に、いずれ「研修の内製化」を検討するようになったとき、そのノウハウについて情報交換できる企業さんとお付き合いできていたらということもあって、最終的にギブリーさんにお願いをしました。

■フルオンラインへの不安が消えた、新卒エンジニアの教え合い


渡辺:ここからはウイングアーク1st様にTrackのオープン研修をお選びいただき、どのような内容を実際にご提供したかを私から紹介します。

こちらが2023年度のグランドデザインです。



渡辺:このカリキュラムの背景にあるのが、今の時代とそこで求められるエンジニアの在り方です。

なかなか先を見通せない時代だからこそ、弊社はしっかりと自ら考えて動けるエンジニアを育成したいと考えています。そのため、スキル面のみならず、自立自走する意義と学びの行動習慣を定着させるマインド面も重視して研修を設計しました。そこでコンセプトとしたのが「教えない研修」です。

研修は複数社がフルオンラインで参加。「ジグソー法」を使った受講者同士の教え合いで、講師からの説明のインプット20%・グループ内でのアウトプット80%と実際に手を動かしていくスタイルを基本としました。



渡辺:また、今回の研修の大きな特徴として、日々の講座のあとも交流・学び合いが促進できるようチャットツールによる「アウトプットチャンネル」を用意していました。

実際にこのカリキュラムを実施する前は、依田さんはどんな心境でしたか?

依田さん:正直、不安な部分はありました。私たちは今までずっと"出社型"の研修ベンダーさんにお願いしてきていたのですが、それが"フルオンライン"へと一気に変わることになったので。

渡辺:そうですよね。

依田さん:特に心配だったのがコミュニケーションの部分です。当社はフルリモートの会社ですが、「隣の人に聞く」ということが難しいですよね。だから、入社したてのメンバーにとってフルオンラインが良いものなのかが気がかりでした。

でも実際やってみたら、彼らは私たちが想像していたはるか上をいくぐらいにチャットツールの扱いに慣れていて。チャットの方が自分の力を発揮しやすいメンバーもいたことが大きな発見で、安心しました。

渡辺:ウイングアーク1stの受講生さんはわからなくて困っている他社の受講生さんを助けてくださったり、講師の話した内容のプラスアルファの情報を発信してくださったり、すごく盛り上げてくださっていましたね。

依田さん:ええ、開始1、2週間経つと一日にかなりの数のチャットが飛び交っているような状態で、議論が活発に、そして楽しそうに進んでいましたね。これが自分の持つ情報を教え合うエンジニアの文化なんだと実感しましたし、「ああ、杞憂だった。フルオンラインでも安心なんだ」とこの時点で思いました。

渡辺:フルオンラインの研修ベンダーに任せることに不安な時期もあった中、安心していただけて良かったです。

■繁忙期に1on1で状況を共有してもらえる。任せられるベンダーを選ぶ重要性


渡辺:実際に研修ベンダーを切り替えた2ヶ月半の研修でしたが、この成果について以下、4つのポイントをあげていただきました。

①チームでの開発経験
②体系的な知識習得
③受講者同士の交流による意欲向上
④人事業務の負担軽減

これらの成果について一つずつ深掘りをお願いしてもよいでしょうか。


依田さん:まず一つ目ですが、学生時代に「チームでの開発経験」まで持っている方というのは非常に少ないのではと思っています。チーム開発を経験しないと「チーム開発のメリットはどこか」「コミュニケーションを取るべきポイント」「自分の強みの在処」などはあまり認識できません。

なので、チーム開発をギブリーさんの研修で経験できたことは大きかったです。その後の部門研修のチーム開発では、成功・失敗体験をさらに活かしてより多くのことを学ぶメンバーの姿が見られました。

渡辺:ハイスキルな方でもチーム内でのコミュニケーションには慣れていないことも多いですよね。そういった所の学びにつながり、良かったです。続いて、二つ目の体系的な知識習得はいかがでしょう。



依田さん:情報系以外のメンバーもいた中で、この研修後は「そもそもこの技術ってさ・・・」と、目の前の技術の土台となっている基本情報技術の話をするメンバーの姿がありました。
今までも考えているメンバーはいたと思いますが、明確に話題として出てきているのを見ることはあまりなく、とても印象的でした。

渡辺:全体の「共通言語」ができたからかもしれませんね。三つ目の「受講者同士の交流による意欲向上」については?



依田さん:他社の受講生の方も含めてなので、本当に幅広い方と接することによって自分達のスキルをアップさせていましたね。学習面以外でもいい経験を積んでいましたね。前年まで社内研修だったこともあり「他社との交流がもたらす気づきだな」という実感がありました。

渡辺:客観的に自分のレベルを知ることができるのはすごく良い機会ですよね。最後の四つ目、「人事業務の負担軽減」はいかがでしたか?



依田さん:他の企業様でもそうかなと思いますが、4月から6月の時期は業務がとくに多忙になりがちです。その期間、信頼できるパートナーとしてギブリーさんにお任せできたのは、人事としてかなり精神的に楽でした。
隔週で1on1を実施してくださり、私たちでは手が届ききらない部分をフォローしていただけるのはすごくありがたかったです。

渡辺:この期間は新卒社員の方も不安になる時期ですよね。そういった不安を少しでもフォローしたいと、1on1では悩みの共有や心身の健康状態もヒアリングしながら、今後やっていきたいことなどを伺っていました。

依田さん:他の企業様でもそうかなと思いますが、4月から6月の時期は業務がとくに多忙になりがちです。その期間、信頼できるパートナーとしてギブリーさんにお任せできたのは、人事としてかなり精神的に楽でした。

渡辺:従来の「研修ベンダーに任せたいけど任せきれない」といった部分までフォローできるようにと考えていましたので、担当としてとても嬉しいです!

■新卒メンバーと共に研修を作る鍵は”オンライン&フラット”


渡辺:最後のまとめの前に、イベント参加者の方から質問をいただいています。「研修のオンラインへの切り替えを社内で提案する際、社内の不安を取り除く必要があると思いますが、どのようなポイントで議論しましたか?」とのことですが、いかがでしょう。

依田さん:おっしゃる通りで、切り替えを進める私たち自身ですらも「フルオンライン大丈夫か?」という不安を持っていました。なので、研修初期は新卒社員に出社で参加してもらうところから始めることにしたんです。

そこからメンバー達に相談すると「自宅の方が環境が整っているので、もっとオンライン増やしてもらって大丈夫です」という話が出て、徐々に自宅の日が増え、チューニングできていきました。

フルオンラインだったからこそオフラインとのバランス調整がしやすいというのがありましたね。

渡辺:最後のまとめの前に、イベント参加者の方から質問をいただいています。「研修をオンラインに切り替える際の社内で提案する際、社内の不安を取り除く必要があると思いますが、どのようなポイントで議論しましたか?」とのことですが、いかがでしょう。

依田さん:切り替えにあたっての不安材料は多々ありますよね。ここからはまとめになりますが、実際にベンダーの切り替えを経験して、"新卒メンバー達と相談しながら研修を一緒に創り上げていく"というやり方も面白く、アリなんだなと感じました。

そのためにも研修ベンダー選定では「フラットに会話のできるベンダーに依頼する」のが大事ですね。

ギブリーさんとは1on1以外でも定期的にお話でき、伴走してくださった実感があります。おかげで自分達の目指す研修ができていきました。来年度もレベルアップするメンバーに対応していく研修づくりを色んな観点で共に考えていければと考えていますよ。

渡辺:温かいお言葉、とても嬉しいです。今日は研修ベンダー選定について詳しく経験をシェアしてくださり、本当にありがとうございました。

依田さん:ありがとうございました。

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  • Writer
  • AgileHR magazine編集部
  • エンジニアと人事が共に手を取り合ってHRを考える文化を作りたい。その為のきっかけやヒントとなる発信し続けて新しい価値を創出すべく、日々コンテンツづくりに邁進している。

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