2019.02.28

Gunosyが開催する
超実践型のインターンシップでは、
課題解決に技術を活かせる学生を求めている。

インターンシップでの課題や解決方法をご紹介
【Special Interview #02】

■Speaker情報

株式会社Gunosy

技術戦略室 VP of Engineering

コーポレート本部
採用推進部 部長
加藤 慶一 (かとう・のりかず) 氏

コーポレート本部
採用推進部 エンジニア採用チーム
猪飼 直史 (いかい・なおふみ) 氏

インターネット上に数多くあふれる情報を、独自のアルゴリズムで収集し、評価付けを行う情報キュレーションサービス「グノシー」の提供をはじめ、「ニュースパス」「LUCRA(ルクラ)」「グノシースポーツ」等といったニュース配信アプリの開発・運用営を行う株式会社Gunosy。そのデータ分析やサービス開発を担うエンジニアの採用は事業成長の肝となる重要なミッションです。IT業界全体でエンジニア人材が足りておらず、特に新卒採用市場において、その採用難易度は年々増しています。そこで同社は、インターンシップを2016年に導入。“超実践型”として人気を誇る同社のインターンシップについて、エンジニア採用担当の加藤慶一氏と猪飼直史氏に、注力しているポイントや課題などを伺いました。

■インターンシップは「採用のミスマッチ」を減らすきっかけ作り

株式会社Gunosyにとって、データ分析やサービス開発を行うエンジニアの存在は非常に重要です。当然、その採用活動には注力しており、2016年からインターンシップを導入しています。第3回目となる昨年(2018年)のサマーインターンシップでは、データサイエンティストを目指す学生向けの「データ分析コース」と、アプリ・サーバサイドエンジニアを目指す学生向けの「サービス開発コース」の2コースでの開催となりました。

こうしたインターンシップを導入した背景として、「採用のミスマッチをなくす目的がある」と加藤氏は話します。

加藤氏:「エンジニアというと、基本的にはものづくりに興味がある方が多いと思いますが、中には、一定数新技術に携わることを目的としている方もいます。弊社は、プロダクトの課題発見と改善の積み重ねで成長してきた企業なので、選考では、まずはそこに共感していただける方かどうかという部分を重要視しています」

同社の採用ポリシーは、新卒・中途どちらにも共通して「課題解決型組織を理想とし、課題解決を第一に技術を選択できるか」ということ。過去には、そういった意識のすり合わせが上手くいかず、入社後にミスマッチが起きてしまった事例もあったそうです。インターンシップとして実際に働いてもらうことには、お互いに目的意識や重要視していることにズレがないかを確認し、入社後のミスマッチを防ぐという目的があるそうです。

「もちろん、インターンシップで一緒に働くだけで、お互いの全てを理解できる訳ではありませんが、エンジニアの新卒採用を実施している企業が多くある中で、Gunosyを選んでもらうきっかけになればと思っています。エンジニアは、どうしても候補者数が限定されますが、インターンシップにご参加いただくことで、実際に現場の魅力を肌で感じてもらえたり、ギャップを解消できたりするという効果があるので、重要な採用プロセスの一つであると認識しています」とインターンシップを開催する意義を説明してくれました。

■両名がGunosyのエンジニア採用となった経緯について

採用推進部の加藤氏と猪飼氏は、どのような経緯で今の業務についたのでしょうか。

加藤氏は2011年に新卒でグリー株式会社にエンジニアとして入社。主に2年ほどソーシャルゲームの運用・開発を担当した後、株式会社フリークアウトに入社し、データエンジニア等を担当。2015年12月にGunosyに入社した。「当社のCEOである竹谷とはグリー時代の同期で、弊社への入社も、彼と久しぶりに食事をしたことがきっかけでした。創業当時から「グノシー」を知っていましたし、創業メンバーとも交流がありましたが、その時にあらためて誘われ、入社を決めました。もともとフリークアウトも竹谷に紹介してもらったという経緯もあったりして、彼は私の人生にいろいろと関わりが深いんです。」

Gunosy入社後は、KDDIと共同で提供するニュース配信アプリ「ニュースパス」の立ち上げに参画し、開発を担当。リリースしてしばらくは、「ニュースパス」開発チームの部長として従事。

加藤氏:「『ニュースパス』を担当した後は、広告システムのデータエンジニアリングに携わり始めましたが、そのあたりから、並行して新卒採用に関わる業務が増えてきました。昨年(2018年)の夏ごろ、これまでGunosyのCTOを務めていた松本(現・DMM.comのCTO)さんと、一緒に採用業務を担っていたメンバーのふたりが、ほぼ同時期に退職することになり、そのタイミングで彼らの業務も引き継ぐことになりました。現在は、エンジニアの組織づくりやマネジメントも旗振り役として担当しています。」

一方、猪飼氏は2015年に新卒でギークス株式会社に入社。当時はGunosyをはじめ、アプリや広告、Webサービスを手掛けているITベンチャー企業に対し、エンジニアの人材紹介を行うエージェント業務を担当しており、徐々にエンジニアの方々に対するキャリアコンサルも担うようにもなったそうです。

猪飼氏:「Gunosyは前職の担当顧客であり、採用支援という形で外部から携わっていました。2017年に採用担当として入社してからこれまで、エンジニア採用担当として業務を行っています。加藤が採用チームにジョインする前までは私ひとりに近い状態でしたが、今では複数名で動くことができ、新卒や中途、業務委託の採用等、業務の幅が広がっています。」

現在、同社の採用推進部はエンジニアとビジネスサイド、それぞれ採用担当が分かれているとのことです。人事部という名称の部署はなく、採用や労務等、それぞれの機能をもった部署が連携してHR業務を担当されているそうです。

■Gunosyがインターンシップに参加する学生に求める人物像とは?

実際に、インターン生を受け入れるためには、現場と連携が不可欠です。Gunosyでは、どのような工夫を行っているのでしょうか。

加藤氏:「以前は、現場主導でインターンシップを開催していました。たとえば、勉強会に来てくれた学生や、学会に参加していた学生の中で、気になる方がいれば『ぜひインターンシップに参加してみてほしい』と声をかけたり、人事から『この学生さんはインターンに来てくれるかもしれないから、直接連絡をとってほしい』と言われたり……(笑)」

その当時は、受け入れ先のチームや、担当メンター(指導係)等の事前設計が手薄になっており、明確なゴール設定がない状態での開催もあったそうです。

加藤氏:「当時を振り返ると、現場と採用担当のどちらが悪いということでもありませんが、課題点の共有がなされていなかったのは、良くなかったと思います。選考基準も曖昧だったので、まずはそのすり合わせから始めました。お互い密に連携するようにして、学生との事務的なやり取りは採用チームが、インターンシップでの課題設計等は現場が担当するようにしました。こちらからも現場にお願いしたいことをしっかり伝えて、インターンシップに参加してくれている学生に対し、意義のある時間を過ごしてもらえるよう留意して設計し、今はある程度かたちになってきたと思っています。」

現場との協力体制が築けたことで、より実践的なインターンシップを行えるようになり、今では実際にインターンシップでのアウトプットが、同社の利益に直結するということもあるそうです。

加藤氏:「インターン生には、重要度と緊急度という2軸で考えた場合、緊急ではないが重要度が高めのタスクをお渡ししています。インターンシップは短期間で行われるので、その期間内ですぐに成果を出すということは中々難しいのですが、その後、サービスの素地となることもあります。実際にアプリを10日間程で作ってもらい、インターンシップ終了後に、それをベースとして外部にリリースできたという事例も多くあります。」

同社のサマーインターンシップでは、データ分析コースとサービス開発コースの2つが用意されていますが、それぞれ採用ターゲットが異なるということではありません。課題提出の段階で、大学や大学院の研究室においてデータサイエンス系の研究をしている学生は、データ分析コースに参加してもらうことが多いそうです。インターンシップ選考の基準は、冒頭にお話いただいた“課題解決のために技術を使う”というポリシーに共感し、体現してもらえる人物かどうかだそうです。

■サービス開発コースの選考基準にオンラインのコードテストを導入した理由

学生ならではのスケジュール管理も課題の一つであると加藤氏は話します。

加藤氏:「データ分析コースの定員は40名ほどですが、学生の皆さんは、大学や学部によってもスケジュールがまちまちなので、応募のタイミングも横並びという訳にはいきません。ですので、書類選考のタイミング等、スケジュール管理が大変でした。また、ありがたいことに約2倍ほど定員を上回る人数の応募があり、短期間で多数の書類選考を行わなければならないため、他の業務に支障がでてしまうこともありました。」

さらに、技術選考に関しても課題があったそうです。

猪飼氏:「技術選考をすべて現場にお願いすると、開発業務が滞ることもありますし、インターンシップの参加学生と現場エンジニアとの面談セッティングやスケジュール調整にも、意外と時間がかかってしまっていました。特に優秀な学生には、我々だけでなく、他社からもたくさんアプローチがあるはずなので、Gunosyを選んでいただくために、選考前後でもしっかりフォローするということは重要な課題の一つでした。」

そこで目をつけたのが、エンジニアの技術力をオンラインで定量評価する『track』というツールで、知るきっかけは、学生へのヒアリングだったそうです。

加藤氏:「以前よりインターンシップを開催していたデータ分析コースでは、我々が培ってきた経験から、技術力や知識力を測るテストを独自で作成し、活用していましたが、サービス開発コースは、昨年始めたばかりなので、まだ基準となる技術選考テストがありませんでした。学生の自己申告のもと、GitHubやこれまでの作成物のヒアリングのもと判断しており、定量的な評価基準があった訳ではなかったので、実際にお会いしてみないと分からないという不安もありました。データ分析コースと同等のテストを作成するのは、かなりの時間を要するため、どうすべきかと悩んでいた時に、学生との面談の会話の中で『track』の存在を知りました。」

同社の選考に来ていた学生から、他社での技術選考でtrackのコードテストを受けたが、高難易度の内容だったという話を聞いた加藤氏は早速調べてみたそうです。

加藤氏:「trackの課題は、なかなか理想的な内容だと感じました。実際に受けた学生が難しく感じたというのは、歯応えがあるテストなんだろうなと。早速現場のエンジニアにtrackを見てもらったところ、『課題の難易度もちょうど良さそうだ』という話になり、選考基準として活用できると判断し、導入を決めました。」

猪飼氏:「trackは設定したテストを受けた結果がスコアとして確認でき、現場のエンジニアに全てのチェックをお願いしなくても、採用チームで対応できます。それにより現場の負担が軽減され、スケジュール調整もしやすくなりました。」

選考の効率化に繋がったばかりか、一次選考時に技術力を定量的に評価できることで、実際にインターンシップ選考に進んでからのミスマッチがなくなったそうです。しかし、trackを活用した選考での課題もあったそうです。

猪飼氏:「trackを導入したことで、選考の効率化やミスマッチは少なくなりましたが、運用面では課題もうまれました。前述したように、学生の皆さんは、大学や学部等により状況が異なるので、応募のタイミングや課題提出がバラバラにならざるを得ません。結果的に、我々も一斉に採点して結果をお伝えすることが難しく、選考結果のお伝えをお待たせしてしまったり、『いつから選考なんだろう?』と思わせてしまうこともあり、少し後手になってしまっていました。今後は、課題提出から選考結果が出るまでのスケジュール感も明確にし、よりスムーズに運用していきたいと思っています。」

■エンジニアは“作る意義”を大切にしている

最後に、お二人からエンジニア採用に必要なことをお話しいただきました。

猪飼氏:「採用担当と現場が同じ温度感で『一緒に働きたい人を採用したい』という想いを持てることは大事だと思います。そのために、仕組みを構築することも必要ですが、最も重要なのはコミュニケーション量ではないでしょうか。お互いを知り、フォローし合う姿勢は重要だと思います。 また、我々採用担当には、新しい価値観やサービス、技術のキャッチアップに対して前向きであることも求められていると思います。」

加藤氏:「エンジニアは、自身が作っているものの意味やミッションを非常に大切にしています。どの経営層もエンジニアを理解しようと努力していると思いますが、より積極的に、自分たちが作っているものの意義や、『だからあなたが必要なんです』という彼らを採用したい理由をしっかり伝えることが重要です。やはりこういった想いが、入社後も、お互いに目線をあわせて業務に向き合うということに繋がると思います。」

とメッセージをいただきました。 今後もGunosyは、実践型インターンシップを通じて、技術を課題解決に活かせる若手エンジニアの採用に注力していくそうです。

ありがとうございました。

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  • Writer
  • AgileHR magazine編集部
  • エンジニアと人事が共に手を取り合ってHRを考える文化を作りたい。その為のきっかけやヒントとなる発信し続けて新しい価値を創出すべく、日々コンテンツづくりに邁進している。

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