2017.08.17

これからの採用は
“数"から“質"の戦略へ

企業が新たな採用手法「職種別選考」を
行う背景とは

Contents

1 エンジニア採用の常識が変わり始めた
2 エンジニア人材市場の動向の変化
2.1 ①産業の高度IT化。エンジニア採用も内製化に向けて動き出した
2.2 ②IT人材として求められるスキルが多様化。これだけできれば食っていける!という時代は終わった
2.3 ③開発手法の変化。人月ビジネスの開発からアジャイル開発に
2.4 ④勤続年数が短くなっている
3 まとめ
4 質へのシフトチェンジにどのように備えるか

エンジニア採用の常識が変わり始めた

ここ数年で、採用担当をしている方は感じているかもしれませんが、エンジニアが採用できない時代に突入している(した)かもしれません。 中途採用では自社が求めるような技術力のある求職者を獲得できなくなりましたし、人材紹介を複数契約して待ってればいい人材の履歴書を送ってくれるなんてことはなくなりました。 そこで企業が”とりあえず”人材の獲得数を増やすための施策として実施していることの1つに、間口を広げるための「ポテンシャル採用」「エンジニアだけど文系もOKの採用」が出てきています。 しかし、こういった施策を打つ前に、エンジニア人材市場の動向の変化を理解した上で施策に落とし込む必要があります。 ただ、単に、誰でもエントリーができる窓口を作ってしまうことによって、実は会社を知っていてエントリーをするかもしれなかった優秀な人材が敬遠してしまうリスクもあります。

本投稿では、エンジニア人材市場の動向の変化をまとめた上で、現在の窓口を広げるポテンシャル・文系採用に警鐘を鳴らすとともに、今後人事職に求められることをお伝えします。

エンジニア人材市場の動向の変化

①産業の高度IT化。エンジニア採用も内製化に向けて動き出した
数年前までは、エンジニア採用はIT業界のみで行われていました。このIT業界と言われる市場は、経済産業省の分類によると、情報サービス業(ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、インターネット附随サービス業の3業種)に該当するわけですが、これらの業態に入らない企業もエンジニアの採用に乗り出すようになりました。ハードウェアとソフトウェアの垣根がなくなり始めた現在では、富士フイルムやトヨタなどのような国産老舗のハードウェアメーカーもソフトウェア人材獲得に注力しています。 普通に考えれば、IT業界だけで囲い込めていた新卒のソフトウェア人材なども、いろんな業界に流れるようになってしまったわけです。求人倍率は上がるばかりなので、これは今後も止まらない流れです。

②IT人材として求められるスキルが多様化。これだけできれば食っていける!という時代は終わった
Web、ゲーム、SIなどで、アーキテクトができる、プログラミングのコードが書けるというのは、一様に”エンジニア”と呼ばれているわけですが、それぞれの領域のエンジニアとしての業務内容が日進月歩 の先端技術に伴い、変化・多様化してきます。そしてのそのスピードが異様に早いわけです。 この言語・フレームワークが触れます、こういった開発環境は経験がありますというだけではアピールにならなくなり、新しい技術トレンドに常にキャッチアップできる人材が求められるようになっていきます。 「●●言語は必須、あとこのフレームワークも!こういう経験も必要です。任意ですが、こういう開発環境での経験は推奨です」などとツラツラ技術要件を書く求人はありますが、全部ができる、フィットした人材を採用市場から探すのは相当大変です。(いるかもわかりません)

③開発手法の変化。人月ビジネスの開発からアジャイル開発に
従来の「人月ビジネス」の開発から、エンジニアの開発手法は変化しています。納期まで要求ベースでプロジェクトを進める、そのために必要な人材を集める、(いなければ派遣やSESを雇う)という手法ではなく、今あるリソースとスケジュールをベースに、顧客の声を活かしながら、短い期間のイテレーションを回していくという手法、アジャイル開発が流行してきています。これは、プロダクトが「作り終えて販売して終わり」ではなく、ユーザーの声を参考にしながら常に改善していくものになってきていることも影響しています。

うちの会社でもありますが、Aさんが1週間かけて実施するのをBさんは1日で終えられるというのはよくあります。

④勤続年数が短くなっている
フリーランスや派遣など、働き方が多様化してきており、自分で選択できるようになってきたことから、昔のような終身雇用は死語になっており、長くても10年、短いと数年で転職するというケースも少なくないのではないでしょうか。転職してキャリアアップするという考え方も根付いてきたこともあるのか、勤続年数は短くなっていく傾向にあります。 そうなってしまった今、入ってから育てれば良いという価値観もこれからは変わらざるをえなくなっていきます。ポテンシャルで採用して教育してから数年で他社に行ってしまうというのではいい採用ができたとは言えません。あくまで自社に即・戦力になる人材獲得を実現できるかが鍵になっていきます。

まとめ

エンジニアを取り巻く環境や働き方が大きく変化している
技術の多様化に合わせて、職種ごとに求められるものも多様化している。自社技術が求めるスペックの人を見つけようとしても市場には滅多に出てこない
業界で求められるのは新しい技術トレンドにキャッチアップできる変化耐性の強い人材である
勤続年数の減少、フリーランス文化の台頭など。教育期間をできるだけ抑え、即、戦力になってもらえる人材獲得が重要になる
これからのエンジニア採用に必要なのは、「数」から「質」へのシフト
みなさんの会社では、エンジニアの採用人数はだれが決めていますか? 中途採用は部署ごとに決めている企業のほうが多いと思いますが、新卒採用になった途端、毎年決まった人数が経営者や人事内で決まることが少なくないのではないでしょうか。 ここで、現場と経営・人事間で認識のズレが起こります。

エンジニア採用の本質は、「開発力を高めるため」に行われるものなはずです。しかし、人事においてエンジニア採用は決められた数字を達成する採用でしかなくなってしまっている場合も多いです。

このずれが生じたまま、ポテンシャル採用に振り切って、文系でもよいからと人数を揃えにいく採用をしてしまうと、短期的には現場エンジニアの開発力低下、中長期的には優秀な人材流出になっていくリスクがあります。

また、全体でどのくらい工数がかかるかの計算をせずに、ただ「ポテンシャル採用ではだめだ!即戦力で全員取ろう!」とすると、これもまた現場に多大な工数をかけさせてしまう可能性があります。 現場エンジニアの面接中にカルチャーフィットとスキルフィットをどちらも1時間程度の時間でやるというのは無理があります。人事がエンジニアの見極めに難しさを感じるように、現場エンジニアもエンジニアの見極めにはそれと異なる難しさを感じています。自分が持っている技術範囲に対応できない技術を持っている方も見極めをしなければなりませんし、ポテンシャルだった場合には自社の環境で伸びる人材か(どのマネジャーにつけるかによっても異なる)といった検討もしなければいけません。 そして、何よりこれを全部丸投げされたエンジニアは、開発の工数が取れなくなる可能性が高く、これもまた現場の開発力を低下させる可能性があります(エンジニアの配属が人事部になる、最近でいう「人事エンジニア」ならば話は別ですが)。

質へのシフトチェンジにどのように備えるか

これらの課題に対して、近年、新卒領域でも実践する企業が増えてきているのが、「職種別選考」です。以前の弊社の記事 でもありますが、ワークスアプリケーションズはすでに実践しており、ITだけではなく、メーカー企業なども実践する企業が増えてきています。 これは、中途と同様に、新卒においても、エンジニアスキル重視の選考枠を設けることで、即戦力になる可能性の高い人材獲得に繋げていく施策です。

「職種別選考」にご興味がある方は、下記のワークスアプリケーションズ社の導入事例インタビューをご参考ください。
https://tracks.run/interview/worksapplications/

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  • Writer
  • AgileHR magazine編集部
  • エンジニアと人事が共に手を取り合ってHRを考える文化を作りたい。その為のきっかけやヒントとなる発信し続けて新しい価値を創出すべく、日々コンテンツづくりに邁進している。

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