Contents
1 ポテンシャル採用のメリットを享受できるのは母集団の集まる人気企業だけ
2 エンジニア学生と社会人エンジニアとの壁はなくなってきている
3 いま、人事採用担当者に採用方法の変革が求められている
3.1 お知らせ
3.1.1 関連コンテンツ
ポテンシャル採用のメリットを享受できるのは母集団の集まる人気企業だけ
求職者の過去の経験やスキルではなく、潜在能力を重視する「ポテンシャル採用」という言葉がここ数年で定着し始めてきています。
第二新卒もポテンシャル枠として採用することで、企業としては新卒で取り切れなかった人数の確保ができるという点や、幅広い層/異なるタイプの求職者と接触できるという点でメリットがあり、求職者としてもチャンスが増えるため、互いにとって画期的な手法と言えます。
しかしこのようにポテンシャル採用という言い方で20代の“若手優秀層”を集め、実際に獲得までできるのは放っておいても母集団が集まる人気企業に限ってのことです。
知名度の高い企業はこうしたPRをガンガン行って、若手優秀層に「自分でも行けるかもしれない」と思ってもらい、間口広く応募者を集めるのが得策です。
しかし、そこまで知名度のない企業が同じように「ポテンシャル採用」という単語で第二新卒を採用しにいこうとしても、基準に満たない候補者がたまに応募してくるくらいでしょう。
「間口を広げる」という戦略は正しいように見えますが、そもそも自社を第一志望とする求職者が多くないなら、土俵にすら立てないということがある訳です。
それで結局新卒採用に立ち返り「これからはポテンシャル採用だ」という当たり前の結論を掲げ、いつものように学歴の高い学生から順に会いに行っている、という状況が散見されます。
ポテンシャル採用というバズワードを都合良く捉え、スキルや経験のある若手を採用できないことを棚に上げているとしたら、考えを改めた方がよいでしょう。
第二新卒の優秀層をポテンシャル採用として獲得する、ということは
≒ 新卒と中途採用の壁を無くす
≒ 新卒で「スキルと経験」を重視したキャリア採用も行う
と考えることが重要です。
エンジニア学生と社会人エンジニアとの壁はなくなってきている
今の学生は
大学1-2年からの長期インターンシップでエンジニアとして仕事をしている
学業や研究していたことが、より実務に近いものになってきている
SNSが日常に定着しており、社会人との壁がなくなってきている(ハッカソンの情報なども増えた)
上記のような背景もあり、実践的なことにチャレンジするエンジニア学生は5-10年前から激増しています。
同時に今のエンジニアの仕事観も
得たいスキルや求める環境に変化があれば、一社に定着せず転職・独立したい
ビジョンや条件面だけでなく、多様なスキルが身につくかや、作りたいものを作れるか、開発しやすい環境かを重視したい
スペシャリストコースかPMコースかなどを、キャリアプランを自分で選びたい
と、よりフレキシブルになってきています。
となれば 「新卒はポテンシャル採用だからスキルは重視しない」 といつまでも言えないのではないでしょうか。
仮に大学3年(20歳)のサマーインターンで出会った企業に、これまでと同じポテンシャル採用という名のもとで採用されたら、
20歳 → サマーインターン
21歳 → 就職活動
22歳 → 入社&研修
24歳 → ジョブローテーション
と、本格的に自分の目指すところに本腰を入れられるようになるのが、4~5年先になることもあるのです。
IT業界における4-5年は、死活問題になるほどの長い時間であり、この期間に信じられないほどの進化が起きることは業界に数年いれば分かることです。
いま、人事採用担当者に採用方法の変革が求められている
優秀な人材は「自分は新卒だから4-5年先までやりたいことを優先できないのは仕方ない」ではなく、「技術や市場がこの4-5年で大きく進化するから、エンジニアとして最先端にいるためには、スキルを思いっきり磨ける環境が良い。そうした会社は、ポテンシャルではなく具体的なスキルで評価してくれる会社ではないか」と考えるはずです。
「新卒であろうとスキルを見て採用をしている」というスタンスは、優秀な学生にとっては安心感につながります。
IT業界も学生も、それにともなうエンジニア採用のあり方も、5-10年前とは異なる状況に来ています。
人事採用担当がこの状況に気づき、当事者意識を持ち、ドラスティックに採用方法のあり方を変えられるかが、数年後の会社基盤を支えることにつながることでしょう。
中長期的な話のため、どうしても緊急度が低く優先順位が下がる議論になりがちですが、この重要性に気付いた企業から、2019卒採用を「スキルを見て採用するという考え方を取り入れるテスト期間」にするだろうと予測しています。