■Speaker 情報
クックパッド株式会社
広報・人事本部長 兼 エンジニア統括マネージャー
高井 直人(たかい・なおと)様
コニカミノルタ株式会社
IoTサービスプラットフォーム開発統括部 サービス開発部
担当部長
吉田 明子(よしだ・あきこ)様
株式会社Gunosy
執行役員 兼 技術戦略室 VP of Engineering
加藤 慶一(かとう・のりかず)様
■Moderator 情報
株式会社ギブリー
村上 友章(むらかみ・ともあき)
■イベントレポート概要
株式会社ギブリーが主催する「AgileHR day」も今回で8回目を数えます。今回はエンジニア採用における「インターンシップ」の重要性と、その設計について積極的かつ特色豊かなインターンシップを行う3社(クックパッド株式会社、コニカミノルタ株式会社、株式会社Gunosy)の担当者をお招きしました。各社が実践するエンジニアのインターンシップについて、その設計ノウハウをライトニングトークで大いに語っていただいた内容をご紹介します。
■サマーインターンシップは昨年から2コースを用意した
加藤氏:Gunosyのインターンシップについてご説明させていただきます加藤と申します。VP of Engineeringとして採用やエンジニアの組織作りに携わっていおります。採用に関わらせていただいたのはGunosyに入ってからが初めてで、ほぼ1年が経ちました。それまでは、ずっとエンジニアで、もともとはGREEという会社におり、そのあとフリークアウトという会社に入って、それからGunosyに来ました。
当社のインターンシップですが、先日「AgileHR magazine」のインタビュー(https://tracks.run/agilehr/interview20190228001/)に答えさせていただいたので、そちらのほうが充実した内容になっています。お時間があれば、ご覧いただければと思います。
Gunosyでは、大きく分けて2つのインターンシップを開催しています。ひとつは「サマーインターンシップ」というもので、「データ分析コース」と「サービス開発コース」の2つを用意しています。もうひとつは、選考フローの間にインターンシップを設けているという感じです。こちらは、わりと長くやっているインターンシップになります。
インターンシップ開催の背景ですが、サマーインターンシップに関しては多くの学生にGunosyを知ってもらいたいという目的で、2016年夏から開始しています。おもに2018年度入社が最初ということになります。一方、選考時のインターンシップですが、基本的には入社時におけるギャップを埋めるのが主目的です。2016年に入った2名のエンジニアは、ふたりともアルバイトを通じてオファーを出しています。そこから、すでに会社の中で一緒に働いてみてからオファーを出すという認識ができていて、選考時におけるインターンを必須にするという流れになりつつあります。
2018年のサマーインターンシップについては、データ分析コースが3日間行うハッカソン+コンペ形式のような内容です。1番スコアが良い人には、賞金を与えるといったイベントも行っています。今までサマーインターンシップでは広告CTRの予測やグノシーの記事クリック予測を課題にしてきましたが、2018年はグノシーに配信している記事のカテゴリーを推定するといった問題を行ないました。
もうひとつのサービス開発コースですが、インターンの学生には実際のチームに従事してもらいます。2018年には広告チームに所属してもらって広告プロダクトの開発と、「グノシー」の開発を行うプロダクトチームに参加してもらって課題に取り組んでもらいました。こちらは2週間ほどの期間になります。
今回の失敗は、多くの学生にアプローチするために、大阪でも開催すれば来てもらえるのではないかと思ったのですが、ぜんぜん応募がなくて(笑)。大阪出身の人に聞いたら「東京に行けるんだったら、普通は東京に行きたいでしょ」と言われ、確かにそうだと納得しました。そこで、結局は東京で2回開催するように変更しました。
■サマーインターンシップは「track」導入で課題解決できた
インターンシップの成果ですが、2016年は約20名が参加しました。応募数もほぼ同数です。そもそも応募がぜんぜん来なくて慌てたというのがあるのですが、参加者の中でも良い方がいて3名にオファーを出したのですが、結果的には1名が入社ということになりました。2017年は90名ほどの応募で60名ほどの学生に参加していただき、3名にオファーを出して2名に入社していただきました。
2018年はデータ分析コースは90名ほどが応募して、40名ほど参加しました。サービス開発コースは40名ほどの応募があり、2名が参加しました。2020年卒の予定で集めたのですが、ふたりとも19年卒だったので来月(2019年4月)に入社予定です。サマーインターンシップはこのような成果です。
サマーインターンシップは3年開催して、いろいろトライ&エラーを繰り返してきました。2016年は応募者の確保に必死で、あらゆるSNSを使って告知をしました。すでにアルバイトに来ていた学生のツテを使って呼びかけてもらったり、知人のいる研究室に連絡するなど。そうしてやってみたところ、参加者のレベルにばらつきが大きいなと感じました。
前年の結果を受けて2017年には書類選考を導入したのですが、それでも実際に参加して作業をするのに技術力が追いつかないということがありました。もうちょっと入れるタイミングが必要かなという課題はありましたね。そこで2018年は書類選考に加えて、ギブリーさんにお世話になって「track」を導入したおかげで参加者のレベルの問題は解決しました。
サマーインターンシップの集客については、基本的に新卒イベントなどを開催しているところなどに、夏前に実施されるものということでお声がけさせてもらうというのが、まずひとつの方法です。あとはTwitterとかFacebookにおける社内のエンジニアを中心に告知してもらうといったことです。あとは「魔法のスプレッドシート」という、インターンの情報が集まる謎のスプレッドシートが毎年、誰が作っているのかわかりませんが存在しまして、そこに書くと不思議と応募が集まってくるのです。みなさんも、困っていらっしゃる方がいれば、そこにしれっと書き込んでみるとインターンの応募が来るかもしれませんよ(笑)。
あとは「言語処理学会」や「人工知能学会」など、毎年3つほどの学会に参加させてもらっていまして、スポンサーセッションなどで発表させていただいたのをきっかけに、学生に声をかけさせてもらっています。
■選考インターンシップは自社のオリジナル問題に取り組んでもらう
選考インターンシップについて、もう少しご説明させていただきます。選考フローに関しては、応募から書類選考したあとに、面談で学生にどんなことに興味があるかヒアリングします。その後、課題を与えるのですが、これは「track」だったり、長らく自社で作ってきたオリジナルの問題などに取り組んでいただきます。そのあと、もう一度面談をして課題のフィードバックと、実際にインターンに来てもらいたいので、その打診をするようにしています。そして、実際にスケジュール調整をして選考インターンシップに来てもらうという流れです。だいたい5~10日間ぐらいですね。ここでインターンシップでの合否を出して、オファーをするような流れになっています。
課題として学生に取り組んでもらう自社オリジナル問題ですが、特にデータ分析や機械学習を学んできた学生向けに出している課題で、基本的に1ヶ月を締め切りとした課題文を送付します。その課題はGitHubのプライベートリポジトリに作ってもらったソフトを提出してもらいます。こちらもレビュー担当のエンジニアを設定して、課題レビューを行う仕組みになっています。そこで実装や作ってもらったロジックについて指摘するといったことをします。指摘については、イシューに登録して、それに対してリクエストして修正してもらうといったやり取りを数回繰り返すといった形です。そして最終的に課題の合否判定を行うわけですが、なかなか多めの課題になっていて、数ヶ月かかるといったことになっています。
インターンシップのターゲットは比較的幅広く考えています。選考インターンシップで重視するのは課題に取り組む姿勢や、わからないことをちゃんと聞けるかというところで、成果が出たかどうかという部分は基本的に問いません。最終的には担当メンターが、その学生と一緒に働きたいかというところで判断しています。採用担当とエンジニアの役割については、採用担当が基本的な選考フローのオペレーションを中心にやっています。エンジニアは課題作成やサマーインターンシップのメンターを担当します。また面接や面談、懇親会への参加などにも協力してもらっています。それでは、私からは以上です。ありがとうございました。
クックパッド・高井氏:Gunosyさんというと、データサイエンス系の学生を求めていらっしゃると思うのですが、そういった研究・開発志向の学生さんに向けて、特にやっていることはありますか。
加藤氏:研究・開発系の学生だとしても、現時点においてはサービスの改善に携わるというのを主眼に置いて採用しています。
来場者:選考インターンシップの開催時期を教えてください。
加藤氏:完全に学生の都合に任せています。なんだかんだ修士の学生の応募が多いため、学会の準備など学生の都合に合わせて期間を設定したりしています。なので応募してから内定を出すまで半年以上かかるというのも普通にあるという感じですね。
今回は、貴重なお話をありがとうございました。
連載の第4回目となる次回は、「インターンシップを制するものがエンジニア採用を制する」のAfter talkとして株式会社ギブリーの村上より、各社様の施策のまとめや、業界事情・トレンドなどをご紹介いたします。