2017.03.23

エンジニア採用は「事業成長の手段」でなく
経営戦略そのものである

次に勝つ企業におそらく共通して求められるもの

Introduction

CGM、SNS/blogが台頭した2000年代中盤、スマートフォンが台頭した2010年代前半からIT/Web業界は常に大きな波の中にあります。
ユーザーが力を持つようになってきた頃から、Web2.0、ソーシャルゲーム、フラッシュマーケティング、AR、バイラルメディア、キュレーションなどのバズワードが、出ては消え、出ては消えを繰り返し、そこに着目したスタートアップや大手/ベンチャーの新規事業部署も、目まぐるしいスピードで栄枯盛衰を繰り返しています。
昨今では、そもそものデバイスの進化(ワードで言えばIoTやVRやドローン)や、ビッグデータを用いた人工知能開発などITの根本を次のステップに進める動きと、第一次産業、第二次産業、医療、金融、流通などの領域にシームレスにITを導入していく動き(○○tech)を毎日目にするようになりました。
そういう意味では、こと今のIT領域は凪の時期といえるかもしれません。
経営者は既存領域で事業を伸ばしつつ(あるいは豊富な資金を調達する)、新規領域に投資していくというバランス感覚や柔軟な意思決定が最もが求められている時期と言えるでしょう。
デバイスやインフラ自体の進化が一般化するまで投資続けられる体力をキープしつつ、適切な場面で新規事業に全注力するという旗振りの仕方の正解は誰にも分りません。
しかしこの凪の状況を切り開き、次に勝つ企業におそらく共通して求められるものは、「技術力」と「人材」ではないでしょうか。

Contents

1 当たり前に言われる「エンジニア採用は大事だよね」は何故なのか。
2 中長期的な戦略を今取り組む意義
3 経営者とCTOと人事の役割
4 お知らせ
4.1 関連コンテンツ

当たり前に言われる「エンジニア採用は大事だよね」は何故なのか。

投資する事業/領域が成功するか失敗するかは誰にも分からない
成功するにしても事業として成立するまでのスピードが読めない
市場の進化そのものがどうなるか分からない
という今、結果失敗してもリカバーしたり、場合によってピボットしていくことも求められます。
柔軟に市場やビジネスモデルを変えて生き残り、また次のチャンスを獲りに行く姿勢と、次の市場でも通用する強固な技術力が重要なポイントになるでしょう。
事実、昔やっていた事業とは異なるものをはじめ、一気に成長した企業はたくさん存在しています。
つまりエンジニアを採用することそのものが、IT企業の生き残り戦略となり得るのです。逆に言えばエンジニアを採用できていない企業は、それだけでリスクを背負っていると考え、今からでも土壌づくりをしていくことをおすすめします。
改めて、「なぜエンジニアを採用するのか」。それは今の事業を伸ばすため、欠員補充のためではなく、「未来にこの会社が勝ち残っていくため」なのです。

中長期的な戦略を今取り組む意義

今、エンジニアは企業に頼るのではなく、どこでも食べていける力をつけていくことが是とされています。
エンジニアでなくとも、この進化の激しいIT領域では、既存の業態にしがみついて得られるスキルではなく、何かあっても次にいける力をつけようとするのは必然であり、副業が促進されたりフリーランス化する人材も加速的に増えることが目に見えています。
すると、よりスキルが磨けるところ、より安定的に仕事ができるところ、より働きやすいところにならなければ、必死に採用しても定着しないという結果になってしまいます。
経営側がどこまで柔軟にこうした変化をくみ取り、仕組を作っていくかが、先々のエンジニア採用/定着を分けることになるので、今からトライ&エラーを繰り返し、中長期的な施策であってもスピーディに取り組むことが必要です。
勉強会や、ハッカソンイベントなどを定期開催するなどして、常にリアルでのネットワークを広げていくことが、先々大きな資産になるでしょう。

経営者とCTOと人事の役割

もちろん経営者にエンジニアバックグランドがあれば、それだけエンジニアファーストの文化は作りやすいでしょう。
しかし、業界を見渡すと営業や総合職出身の経営者がけん引するIT企業も多いのが実情です。
後者の企業であれば、CTO/技術責任者が必要であることは言うまでもありませんが、どの程度、経営や事業づくりに関わってもらうのが良いのでしょうか。
事業として目指すことと、技術やプロダクトに投資することがイコールになれば理想ですが、Aという収益事業とBという投資事業(自社プロダクト開発)が分かれることも往々にして存在します。
A事業の方針や業績により、B事業に影響が及ぶ可能性が少しでもあるなら、CTOは経営にも参画すべきでしょう。経営側もCTO(技術責任者)に常に会社の方針を共有しておかないと、後々、ベクトルを修正することが非常に困難になります。
また、経営者がエンジニアバックグラウンドでない場合、エンジニアの組織づくりはCTOに主導権を持ってもらうのがよいでしょう。
ここは非常に難しく、経営者がCTOの技術以外のチームビルディングやミッションへの共感度をどれだけ信用できるかにかかっています。
ここを信じられず、結局経営側が「やりやすい」を理由としたマネジメントや評価制度を運用し、エンジニアが離れるケースが散見されます。
そして人事はこうした組織づくりを考える上で、常に経営者同等あるいはそれ以上に高い見地で組織を見つめる必要がありますが、エンジニアが働きやすい環境をつくることが、会社の生存戦略であるという前述の定義を忘れず、経営陣を巻き込んでいきましょう。
すべては「直近で想定される大きなITの進化、そしてその手前の今、凪の時期にどれだけの準備ができるか」から派生している内容ですが、ぜひエンジニアHRの中長期的課題解決を緊急度の高い人事ミッションとして置いてみてください。
まだまだ「エンジニアが働くとしたらここ!」というブランドはどの会社でもつくれるチャンスがあるのです。

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  • Writer
  • AgileHR magazine編集部
  • エンジニアと人事が共に手を取り合ってHRを考える文化を作りたい。その為のきっかけやヒントとなる発信し続けて新しい価値を創出すべく、日々コンテンツづくりに邁進している。

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