2018.08.10

技術選考でどのようにスキルを
見極めるのか?

エンジニア採用の先端2社の選考フローと
導入のヒケツ公開!
【AgileHR day #Sprint02】

Speaker情報

株式会社バンダイナムコスタジオ
技術統括本部 技術第1開発本部
プログラム1部 プログラム2課
課長
髙橋 秀司 様(たかはし・しゅうじ)

1993年にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)に入社。
開発者として家庭用、業務用ゲームのプログラムを担当。
2012年より、バンダイナムコスタジオに入社。
現在は管理職として、現場のエンジニアのマネジメントに従事。
2017年より新卒のエンジニア採用を兼務。

クックパッド株式会社
技術部長・エンジニア統括マネージャ
庄司 嘉織 様 (しょうじ・よしおり)

25歳から本格的にプログラミングを勉強。
前職で電子書籍の立ちあげ開発リーダーなどを行った後、クックパッドに転職。
投稿部門の部長を経て、動画配信基盤の開発、サービスの microservices 化などに従事したあと、人事部長になる。
現在は技術部長・エンジニア統括マネージャを担う。

株式会社ギブリー
執行役員
山根 淳平(やまね・じゅんぺい)

2012年より株式会社ギブリーに参画、エンジニア向けHRテクノロジー事業の立ち上げを行う。ハッカソンやアイデアソン、プログラミングコンテストなど新しいエンジニア採用施策を取り入れ、年間500社以上のIT・通信・メーカー企業のエンジニア採用・育成を支援。2017年に同社の執行役員に就任。

■イベントレポート概要

2018年6月26日、株式会社ギブリー主催による「AgileHR day」の第二回が開催され、「技術選考におけるスキルの見極め方」というテーマのもと、エンジニア採用においてスキルチェックを導入している株式会社バンダイナムコスタジオの髙橋氏とクックパッド株式会社の庄司氏に、導入の背景や実際の選考フロー、今後導入を検討する企業に向けた秘訣をお話いただきました。

■エンジニアのスキルチェックを実施する背景と求めるエンジニア像

トークセッションの冒頭では、両社の採用選考においてエンジニアのスキルチェックを導入した背景と、求めるエンジニア像についてお話しいただきました。

髙橋氏:プログラミングのスキルチェックは以前から取り入れたいと思っていたのですが、今まで主に筆記テストや数学や物理などのプログラミングに必要と思われる基礎的な学力をテストしていました。去年からWebテストでプログラミング能力を測ることを始めましたが、それまではコードの穴埋め問題や間違いを正すような、ポテンシャルを測る程度でした

庄司氏:スキルチェックやコードを提出していただくことは以前より行っていて、エンジニアはまずは技術力なので、基本的にはまずコードを書いていただいて、そのコードを見て次の選考に進むか判断するという形です。GithubのURLを送っていただくこともあります。学力や学歴はあまり重要視してないので、中卒の方や、院卒や博士号持っている社員まで学歴に関係なく様々なエンジニアがいます。



山根:どんなタイプのエンジニアを採用していますか?

庄司氏:採用時に最低限のスキルは必須ですね。技術力が高い方は自分で勉強して成長する能力を持っていると思うので技術力は必ず見ていますね。スタンスとかに関しては、事業に賛同できないみたいな人はさすがに難しいですけども、そこまで強くは見てないですね。

髙橋氏:今のお話を聞くと弊社はまったく逆ですね。まずゲームの会社なので、全職種通じて“ゲームが好き”であることが一番重要です。ゲームのプログラミング技術は大事なのですけど、採用時にプログラミング技術を測ることはあまりしてこなかったし、研修を時間をけておこなっているので、学力がある程度あって教えることでプログラミングを習得できそうな人を採用しています。もちろんプログラミングが好きかどうかはやっぱり重要ですね

■求めるエンジニアを採用するための選考フロー

「エンジニア採用では、スキルとパーソナリティのどちらを重要視しているか」に対し、両社の意見も二つに別れました。そこで、それぞれどのような先行フローでエンジニアを採用しているのかを伺いました。

庄司氏:エントリーをすると自動的にコーディングテストが応募者に届きます。そのテストを提出してもらい、担当のエンジニアが書類選考をします。そこでコードを見て良さそうだと思ったら人事部に連絡が行き、応募者に連絡を取って面接を調整します。
一次面接はエンジニア2名で対応して、事前に受けてもらったコーディングテストについて質問し、何が正しいか、何を覚えているか、だけではなく『エンジニアとして正しくディスカッションできるか』を一次面接で見ています。
二次面接は所属先の部長やグループリーダーなどが対応しますが、ここで初めて人間性とか会社とのカルチャーマッチを見る感じですね。そして最終面接でCTOと技術責任者が技術と人柄の最終チェックをおこなって終わり、というのが一連のフローです

山根 :コーディング課題は具体的にはどのようなものですか?

庄司氏:iOS,Androidエンジニアは、お題に沿って実際に一つアプリケーションを作ってもらいます。Webエンジニアについてはコーディングの基礎知識に始まり、ネットワーク通信ののプログラム、アルゴリズム系の問題を出しています

山根:ありがとうございます。髙橋さんいかがでしょうか?

髙橋氏:弊社の新卒採用では、一次面接では課長クラスのエンジニアが応募者の技術とやる気を判断します。課長クラスのエンジニアは僕を含めて10名以上いるので、求める人物像がずれないようにすり合わせて、面接での質問内容やWebテストの内容を決めます。
応募者の方にはエントリーシート、履歴書を書いてもらって、Webテストを受けてもらいます。今まで一斉に行っていたペーパーテストとは違い、Webのテストなら随時結果が出てくるので、回答結果を見てから一次面接に進めています。面接ではWebの専門試験の回答内容やエントリーシートの内容を見ながらお話をして、この方なら一緒に仕事をやってもらえそうだなと思う方を二次面接、役員面接に進めています

山根:まずエントリーシートから人物面を見ているということですか?

髙橋氏:そうですね。よくある質問なのですが、うちの会社を受ける理由、どんなものを作りたいか、今までどんなものを作ってきたか、大体そんな感じの質問をしてその回答をベースに面接を行っています

山根:新卒と中途によって採用フローは違いますか?

髙橋氏:弊社の場合は、先ほどお話したのは新卒採用のフローになります。中途の場合はポジションに合わせて選考方法を変えています

庄司氏:弊社は、ほぼ同じですね。新卒も中途もまずコードを見ています。もちろん中途採用の方がコーディングテストの内容が難しくなりますけど。

■応募者のソースコードから何を見極めているのか

選考フローにおいて応募者のソースコードチェックを行っているバンダイナムコスタジオとクックパッドでは、どのような観点から応募者のスキルを見極めているのでしょうか。髙橋氏と庄司氏はそれぞれ次のように語っています。

髙橋氏:ソースコードを見ると、きれいなコードを書いている人もいれば、時間があれば解けそうな人、あるポイントで詰まってしまった人、途中で投げ出しちゃったようなコードを書いている人など様々で、どのように答えを導き出していったか、導き出せないにしろどこで詰まったのかが見えるんですよ。面談ではその結果を見ながら、できなかった理由を聞いて、しっかり説明できるかを確認しています。

庄司氏:iOS,AndroidエンジニアとWebエンジニアで分けている理由にもなるんですが、まずそれぞれのコードが書けているかということです。例えばiOSならiOSなりの書き方があるので、問題が解けていればいいというわけではなく設計部分を含めて見ています。どれだけ最適化されているかとか。問題文もあえて柔軟に解釈できるようにしていて、その仕様をどう解釈して拡張性があるように実装しているかなども含めて見ています

■人事とエンジニアの役割分担

今回のAgileHR day02は、人事担当者とエンジニアが半々の割合でご来場いただきました。人事とエンジニアが連携して採用を加速していく中で、どのように連携して役割分担を行うかについてもうかがいました。

山根:お二人ともエンジニアとして選考フローに関わられていますが、人事担当とはどういった役割分担をしてこられたのでしょうか?

庄司氏:お互い歩み寄ってコミュニケーションを取るしかないんですけれど、僕の場合クックパッドに入社した時から『一緒に働くエンジニアは自分で見たいから採用に関わらせてくれ』と自分から言いました。選考のフローも色々アドバイスしましたし、実際に面接もどんどんやっていました

山根:ありがとうございます。髙橋さんいかがでしょうか

髙橋氏:弊社では、エンジニア以外にも、企画やサウンド、グラフィックなど特殊なスキル職種が多いので、現場の担当は、専門ごとにしっかりスキルを見極めるというところで切り分けていますね

■スキルチェック導入のヒント

トークセッションの締めくくりとして、今後、採用選考にスキルチェックを導入する企業の方々に向けてお話いただきました。

髙橋氏:他のゲーム会社が使っているかどうか知らないまま始めてみたのですが、まずは始めてみてダメだったら元に戻そうと思って試してみました。今後も続けることになりました。ぜひ皆さんも、まず始めていただいてお互いに情報共有ができればと思っています

庄司氏:まずは、どのレベルのエンジニアを求めるかを決めることです。それを決めずにスキルチェックを導入してしまうと意味がないですし、現場が混乱してしまうので、まずはしっかり考えて認識を揃えておくことが大切ですね

■会場からも多くの質問

トークセッションの最中や終了後には来場者から多数の質問が寄せられました。質疑応答の一部をご紹介します。



Q:受けて欲しい人材に受けてもらうための方法はありますか?

庄司氏:よく聞かれるんですが、はっきり言って魔法のような手段はないです。地道にやるしかありません。技術ブログを出したり、イベントに登壇することもそうですけど、色んなエンジニアが色んな場で発表してクックパッドという会社が技術に真摯に向き合っていることを見せていくしかないですね

髙橋氏:試験についての話でお伝えすると、今まで遠方からの受験者にもペーパーテストを東京に来てもらって課していたのですが、やはり遠いと来ないんですね。それがWebテストだとどこでも受けられるので、まず受けやすくするという工夫も大事だと思います

Q:エンジニアが企業選びの際に見ているポイントはどこだと思いますか?

庄司氏:朝出社しなくていい。(会場笑い)すごい大事です!特にWeb業界では。あとはその会社が技術的に正しいことをやっているかどうかというのは大事だと思います

髙橋氏:技術以外だと、やっぱりゲームの会社なのでゲームが好きで作りたい人が集まっているかは見ていると思います
「AgileHR dayとは」
近年、就職活動のチャネルはナビサイトや転職サービス以外にも、ダイレクトソーシングやリファラル採用など多様化が進んでいます。
“AgileHR”とは、これまでの計画主義的な採用手法ではなく、技術のトレンドや事業の変化に合わせてリスクを最小化しながらアウトプットを最大化する手法を指し、当トークイベントでは各企業のノウハウを共有し、よりHRの生産性や効率を高めていくことを目的としています。

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  • Writer
  • AgileHR magazine編集部
  • エンジニアと人事が共に手を取り合ってHRを考える文化を作りたい。その為のきっかけやヒントとなる発信し続けて新しい価値を創出すべく、日々コンテンツづくりに邁進している。

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